【全文その3】JFAの田嶋幸三会長、質疑応答の文字起こし。西野氏に決めた理由は

9日(月)に行われたヴァイッド・ハリルホジッチ監督に関する日本サッカー協会の記者会見。

日本サッカー界に大きな衝撃が走ったが、それと同時に田嶋幸三会長の発言についてしっくり来ないファンも多くいた。

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そこで今回は、この日の会見における質疑応答の全文を文字起こしする。かなりのボリュームになるため、三部に分けてお伝えしよう。

また、質問内容はできるだけ簡素化し、田嶋会長の発言についてはできる限り口語のまま記すこととする。

―ハリルホジッチ監督の解任は世界で驚きのニュースになっている。なぜかと言うと、ワールドカップ半年前に監督を変えて成功した例はほとんどない。そうした客観的な状況と日本代表をどう考えているか?

「我々が(ワールドカップ予選の)初戦でUAEに負けた時には、初戦で負けたチームは突破できないと皆さんから言われました。

もちろん、今もこの時点で変えたからすぐに突破できるわけではない。

でも変えないでおいてそのまま突破できないケースを、僕はむざむざ見ているわけにはいかなかったということです。それで少しでも勝つ可能性を追い求めた結果としてこの結論に至ったということです」

―???(質問内容が聞き取れず)

「これは今僕が会長として話す立場ではないので、木曜日なりに。

もちろんハッキリしているのは、初戦が本当に大切だということは間違いないと思っていますが、それは監督に(就任会見が行われる)木曜日に聞いてもらえればと思います」

―コミュニケーションや信頼関係改善のために、協会はどういう努力をしたか?また、それを繋ぐための技術委員長だった西野氏に代表を任せるというのは流れ的には自然ではないのでは?

「皆さんは、そういう一部の選手からそういうコミュニケーションのところを聞いてそうやって仰っているのだと思います。

もちろん一部の選手からそういう意見が出てくるというのを我々も把握していますし、じゃあ全体のところでどうだったのかということも把握しながら、年末には東アジア選手権で韓国戦に大敗した後、我々はその議論をし多くの情報を得ました。

そこでもどうするかを考え、変えるリスクと、じゃあ誰が次にやったらいいのかというのを我々も議論した結果、結局継続という選択をしました。

その中で西野さんはハリルホジッチ監督を最後までサポートしました。最後までサポートするロイヤリティがあるからこそ今回監督になったわけで。

よく話を聞くのは、例えばチーム内で足を引っ張ったりするとかではなく、技術委員長として代表チームをサポートすることに徹してくれていたから、その上で結果的にはこういう結論になってしまったわけですけども、やはり彼はそのサポートすることを最後までやってくれたからこそ私は西野さんを選んだということです」

協会の努力については、様々な選手と話し合いの場を持ったりしました。

ただ、協会がやると言うよりは技術委員会やスタッフの中で本来やるべきことであるし、選手もそれを直接言うべきことであるということを彼ら自身が分かっています。

もちろん皆さんと私の中でどちらが内部情報を知っているのかはあるでしょうけども、本当に内部の人たちがそれを改善しようと思ってやらなければ変わらないわけで、そのことについては皆が努力したと私は認識しています。

うちのスタッフも、選手たちも。ところが残念ながらそこが最後まで影響、改善できなかったというのがこの結果になってしまったことだと思っています」

―4年前のワールドカップが終わった後、ワールドカップや世界のトップレベルを知っていることが監督選択の重要な一つだった。西野氏を選んだことと今までの流れの矛盾、違い、あるいはそのポジティブな意味は?

「ザッケローニ監督が成果を出せなかったということの反省、その当時の技術委員会の反省でワールドカップを指揮していないということが一つ挙げられていました。

それでワールドカップを指揮している経験がある監督ということでアギーレさんが挙がり、そしてその次がハリルホジッチさんになったわけです。お二人ともワールドカップで素晴らしい成果を挙げていらっしゃるわけです。

それで今、ここは緊急事態になってしまったということです。僕は最後までハリルホジッチ監督のこのチームをサポートし続けた西野さんを選んだということです。

もちろん、スタッフは皆サポートを惜しまなかったわけですけども、その中でも西野さんが今までの経験等があったということで、今、外部の全く関係のない人を連れてきて指揮をさせるリスクの方が今度は高いと思いました。

ですから、内部の方を選んだということです。

そして、もしもこのロジックを続けていくと、岡田監督以外誰も(日本人が)日本代表の監督はできないということになるから、ワールドカップが終わった後のクライテリア(判定基準)っていうのは考えなければいけないと思っています」

―西野監督の契約期間、後任の技術委員長について

「契約期間はロシアのワールドカップまでです。

後任の技術委員長については今人選しているところで、できれば今度の木曜日には理事会に出したいと思っています」

―ウクライナ戦が終わった後に解任を決めていたのか?今に至った経緯について

「ウクライナ戦の前に考えていたのはシミュレーションであって、具体的な法務的な手続きについて調べたことはありません。

それくらいハリルホジッチ監督を信頼してサポートしていこうという結論になったわけです。

今回マリ戦、ウクライナ戦の後、様々な情報を収集していく中で、これは最終的な決断になるかもしれないということで、様々なことをしっかりと分析し始めたということです。ですから少し時間がかかったということです。

最終的な意思決定は会長の専権事項だと私は監督に対しては認識し、ただ多くの人に相談しました。よく漏れなかったなというくらい多くの人に相談し、そしてこの結論に至ったのも事実です。

ただ、最終的にはやはり会長が決めなければいけないことだと思っていました。特にこのような緊急を要する時の決断ですから」

―話を伺っていて、いかに技術委員会が機能していなかったが分かった。日本代表はベスト16にノルマになると思うが、それが達成できなかった場合の会長自身の責任は?

「それでは、この決断をしなければ私の責任はなかったのか、ということです。

僕は会長というのは、その時その時で日本サッカー協会の発展のために必要な決断をしていくこと、これが責任だと思っています。辞める、辞めないということを軽々に言うつもりはありません。

ただ、1%でも2%でもベスト16に入れる可能性がある、その可能性を上げる選択をしたと考えています。それが私の責任だと思っています。

技術委員会が全く機能していなかったというのは、全くそんなことはありません。

本当に彼らは必死になってこの代表チームをサポートし、どう改善していくかということをやっていたのは事実です。

ただ監督が手動的立場にあり、監督手動でやっているように思われたと思いますが、そのサポートをしっかりやってきているのも僕はよく見ていますので、全く機能していなかったというのは当たっていないと思っています。

そしてベスト16を突破できたか、できなかったという責任についてはその都度考えなければいけないと思います。これは誰かが辞めれば済むのか、そういう問題かどうかも含めて私は考えていくつもりでいます。

ただその責任、責任を恐れて何もしないのではなく、私はその責任を全うするのは、今の状況で少しでも勝つ可能性を考えてやっていく、その決断をしたのが責任だと思っています」

―今後のメンバー発表は二段階方式か、変わっていくか?

「日程など大筋なところは、もともとタイムリミットがあって決めていることですから、変えるつもりはありません。

ただ今後どうするのか、最終戦が終わってからもう23人にするのか、いやまた向こうに連れて行ってから落とすのかについては、また木曜日までに分かれば皆さんにお伝えしていこうと思います」

(最後に)

「ありがとうございました。

本当に僕はこの危機をしっかり良い方向に持っていきたいと思います。

オールジャパンで我々のコーチングスタッフ、アドミニストレーション、トレセンコーチ、JFAハウスにいる人、皆さん、メディアを通して応援してくださっている方々。

日本がここでしっかりと団結していく良いチャンスにしたいと思います。

残念ながら今は違う方向にあったと僕は認識しています。そのことを変える良いチャンスだと僕は思いました。そのことも含めて良い方向に向く日本代表にしていきたいと思います。

是非応援宜しくお願いいたします」

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