国と与党に全線フル要望 長崎、佐賀の沿線5市長ら

 九州新幹線長崎ルート整備を巡り、長崎、佐賀両県の沿線5市の市長らが10日、国土交通省や自民党本部などを訪れ、全線フル規格での整備を要望した。整備の方向性を決める与党検討委の山本幸三委員長は「さまざまな課題を具体的に解決していかないといけない」と応じたという。
 整備を巡っては、導入予定だったフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)が関西乗り入れが不可能となり、導入をほぼ断念。全線フルとミニ新幹線を軸に検討が進められるが、全線フルが追加費用が高いものの、投資効果が高く、経済性で最も優れていると試算された。
 同省では、鉄道局の寺田吉道官房審議官に要望書を手渡した。終了後、記者団の取材に答えた田上富久長崎市長によると、寺田審議官は「与党検討委の中で国交省としての役割を果たしていきたい」と話したという。
 全線フルは佐賀県が多額の財政負担を理由に難色を示している。村上大祐嬉野市長は「他自治体の理解を得るには非常に汗をかかなくてはいけない。新幹線効果を佐賀県内に広く波及できるよう、広域の観光ルートなどを示していきたい」と話した。

全線フル規格での整備を要望する田上市長(右から2人目)=国交省

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