諫干和解協議 継続 「非開門」前提 開門派は今後も欠席 福岡高裁

 国営諫早湾干拓事業を巡り、2010年の開門確定判決を履行せず制裁金を科された国が開門を強制しないよう求めた請求異議訴訟の控訴審で、福岡高裁(西井和徒裁判長)は10日、「開門せずに漁業振興基金で解決を図る」とした勧告に基づき、和解協議の継続を決めた。
 同日の第2回和解協議で示した。国が勧告を受諾する一方、開門派は「非開門」を前提とした和解案を拒否する回答書を提出しており、同高裁の判断が注目されていた。開門派は同日の協議を欠席。事実上、決裂状態の中、「非開門」前提の和解協議が続く異例の展開となった。和解成立の見通しは厳しく、7月30日に判決が言い渡される可能性が高い。
 終了後、同高裁内で会見した農林水産省農地資源課の横井績課長は「(基金運営主体の有明海沿岸)4県と各漁業団体が勧告に沿った和解協議の継続を希望している点を高裁が考慮した」と協議続行の理由を説明。開門派弁護団がこれまでに、開門する案も含めた和解協議に入るよう求める意見書を同高裁に提出したことについて、同高裁は「検討したが、勧告内容が変わることはない」との考えを示したという。
 横井課長は「これまで法廷でしっかり主張してきた開門派弁護団の欠席は『らしくない行動』。高裁の勧告に沿った和解協議を理解してほしい」と要望。これに対し、開門派弁護団の馬奈木昭雄団長は取材に「4県漁業団体の基金への賛同を得て、国は開門派を屈服させたいのだろうが、そうはいかない」と反発した。同高裁での和解協議は5月8日、同28日に予定されているが、次回以降も欠席するという。

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