金属行人(4月11日付)

 「そういえば最近、家庭の不用品を集めて回る軽トラを見かけなくなったね」―。鉄スクラップ業の経営者と雑談中、ふと、こんな一言が聞かれた。家電機器などを荷台に積み、〝壊れていても構いません〟といったアナウンスを流しながらゆっくり巡回する軽トラ。以前はよく見かけたが、確かに最近見かけない▼理由は、いわゆる〝雑品スクラップ〟の規制強化にあろう。まずは昨年、中国が黒モーターなどの輸入を禁止し、日本の雑品輸出は大幅に減少。さらに国内では4月1日から改正廃棄物処理法が施行され、家電4品目と小型家電28品目を「有害使用済機器」に指定。同機器を扱う事業者は届け出が必要となり、保管や処分のさまざまな基準も規定された▼相次ぐヤード火災が社会問題となり国内では法改正で雑品の規制強化が進む中、最大の輸出先だった中国での輸入禁止が先行。雑品をめぐる景色は一変した。軽トラの件もその一端だが、当然、日本で雑品の発生がなくなったわけではない▼雑品を国内でリサイクルするにはシュレッダーでの破砕処理が有効。ただ、シュレッダー業者はダスト処分場の確保難で受け入れ量を制限せざるを得ないという課題が生じている。処分場確保はスクラップ業界だけでは解決できない。鉄鋼業界を挙げて課題解決に取り組む必要があろう。

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