異国の将来を担う子どもたちを、少しでも応援したい――。そんな思いで10数年来、ネパールの子どもたちへの支援活動を続けている男性がいる。湘南台在住の平綿末次さん(71)。個人的に始めた地道な活動だったが、現在は地域の有志から寄せられる善意を届ける代理人としての役割も務める。今月も寄付で集まった鉛筆や歯ブラシ数百本を海の向こうへ送る予定だ。
教育環境の充実願い
登山が趣味で、50歳を過ぎた頃から海外の山々を踏破してきた平綿さん。南米や南アジアに赴く中で目についたのは、山岳地帯に暮らす子どもたちの貧しさだった。
「学校に行くことができない子や電気や水道すら満足に供給されていない環境。自分にも何かできることはないか」
ちょうどネパールを訪れていたとき、現地の山岳ガイドに相談を持ちかけるとこう返された。「むやみにお金や食べ物をあげてはいけない。支援する気持ちがあるなら、文房具を送ってはどうか」
目を向ければ、子どもたちが持つのもやっとな短さの鉛筆を使っている。「国の将来を背負うのは子どもたち。少しでも教育環境を良くするために役立ちたい」。帰国後、ガイドを通じて文房具を送るようになった。
15年4月のネパール地震の際も、チャリティーの水彩画展を開き、募金約30万円を寄付。このときの活動が新聞で取り上げられ、活動に共感する人からも善意が寄せられるようになった。
今回送るのは鉛筆約900本、消しゴム200個。横浜市の小学校に通う子どもたち自らが同級生らに呼びかけ、集めたものだ。これに歯磨きの習慣がない子どもたちの健康に役立ててほしいと自身が通う歯科医院から託された歯ブラシ約100本と支援金も併せる。
「活動は皆さんの協力があってこそ。気持ちがありがたい」と平綿さん。
地道に続けてきた活動は轍となり、今や支援の輪になった。「子どもたちが喜ぶ姿が何よりのやりがい。微力ではあるが、可能な限り続けたい」とほほ笑んだ。