てくてく長崎まち巡り 「道草」ってどんな味? 市民の森へ山菜ハイキング

 自然を体いっぱいに感じてもらおうと、登山グループ「長崎朝霧山の会」が毎年春に企画している「山菜ハイキング・道草を食おう」。子どものころ、誰でも経験がある学校帰りの“道草”。でも、文字通りに道草を食べるのは初めて。どんなイベントか、そしてどんな味なのか気になり、仲間に入れてもらった。
 8日、50~80代の男女約20人が、長崎市茂木町の市民の森・森林体験館を目指し、正覚寺や上戸町バス停などを起点とするコースに分かれて歩いた。
 私は、唐八景バス停を出発するコースに参加。約1時間歩いた。道すがら、杉山義昭会長(70)から食べられる野草を教わる。ヨモギやワラビは、団子やあえ物にするそうだ。毒がある草もあるため「分からないものは食べない」のが鉄則という。
 痛そうなトゲがあるアザミを発見。トゲを取り除いて炒め物にするとおいしいのだとか。「そうなんですね」と目を輝かせると、「でも珍しいから、採りません」。スミレも食べられるらしいが「かわいらしいから食べません」とキッパリ。「食べられるものを何でも食べるわけじゃないんですよ」と、自然への優しい心遣いをみせた。
 市民の森に各コースの参加者が次々と到着。ウド、セリ、ユキノシタ-。摘んできた野草が、各自持ち寄った調味料やキッチン道具で手際良く調理されていく。ヨモギ団子を丸めると、春らしい香りがした。ギョーザや天ぷらなど、約10種類の“道草料理”を囲んで談笑。ノビルの酢の物は「寿命が“ノビル”ばい」、ヨメナのあえ物は「早く“ヨメ”に行けるわよ」と、だじゃれトークにも花が咲く。私も御利益にあやかれるだろうか。毎年楽しみにしているという林孝司さん(66)は「日常から離れ、別世界のよう。爽快ですね」とほほ笑んだ。山奥ではウグイスが鳴いていた。
 目的地への進み方は人それぞれ。立ち止まったり、振り返ったり。皆さんも〝道草〟してみてはいかが。

ユキノシタを天ぷらにする参加者=長崎市民の森
〝道草料理〟を囲む参加者=長崎市民の森

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