イノシシ検知 捕獲効率向上 NTT西のICTシステム活用 五島市が山中にセンサー

 情報通信技術(ICT)を活用したNTT西日本(大阪)の鳥獣害対策システムが、昨年11月から長崎県五島市で導入され、一定の成果を上げている。山中に設置したセンサーがイノシシなどの存在を検知し、捕獲員にメールで場所や時間を知らせる仕組み。収集した出没場所などのデータを地図上に落とし込む機能もあり、わなや柵の設置作業の効率化も期待される。
 同市では特に、イノシシが農作物を食い荒らす被害が増えている。市農業振興課によると、野生動物による農作物被害の総額は2014年度1274万円、15年度592万円、16年度883万円と推移。一方、市内のイノシシ被害は、市として初めて被害を把握した15年度の83万円を皮切りに、16年度は120万円と増え、17年度は判明分だけで約200万円に上る見込みという。
 同システムの赤外線センサーは、動物が通過したときと、わなにかかったときに反応する2種類。特に被害が集中していた同市奥浦地区の山中に10機ずつ設置した。NTT西日本によると昨年11月から4カ月間、センサー付きのわなで15匹ほど捕獲したほか、センサーで検知した出没傾向を基に設置したわなで捕獲したケースなどもあったという。
 センサーで収集した情報や捕獲場所、わなの設置状況などのデータは、地理情報システム(GIS)を使い地図上で一元的に管理する。出没傾向など市や住民で共有したり、より実態に即した捕獲計画を立てたりしやすくなった。
 国の補助事業を活用し、事業費は約2300万円。同市の担当者は「捕獲効率が上がった。今後も有効に活用して鳥獣害対策の基礎資料にしたい」と話した。同社は今後、同様の課題を抱える自治体に対し、システムの導入を働き掛ける予定。

ICTを活用した鳥獣害対策システムのイメージ図(NTT西日本提供)

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