「70歳代を高齢者と言わない」宣言 大和市

 大和市は11日、「70歳代を高齢者と言わない都市」を宣言した。市民の意識を変えてもらうことで、健康寿命が延び、生涯現役の意識が高まることを期待している。今後は広報紙や市が発信する文書で70歳代をなるべく「高齢者」とは表記せず、「70歳代の市民」などとする。

 同市によると、こうした宣言は、国内外でも例がないという。同市は2014年に「60歳代を高齢者と言わない都市」を宣言しており、今回はさらに対象を10歳引き上げた。

 市内で式典が行われ、大木哲市長が「人生100年時代を迎える超高齢社会では65歳以上を高齢者とする固定観念を変えることが必要。この世代の方々が個々の意欲や能力に応じて、いつまでもいきいきと活躍していただきたいと考え、『70歳代を高齢者と言わない』ことを宣言します」などと宣言文を読み上げた。

 市自治会連絡協議会の会長はあいさつで「自治会活動では60歳代、70歳代ではつらつと活躍されている方が多く、欠かせない存在。今回の宣言はこの方々にエールを送り、地域社会に関わっていく前向きな機運を高めるもの」と歓迎。大木市長は「前回の宣言では男女問わず多くの市民から喜ばれた。市民にもっと伸び伸びと活躍してもらうため、われわれ自治体が『高齢者』の枠を取り払った」などと述べた。

 市によると、市老人クラブ連合会などに宣言について事前説明した際、一部から「70歳以上はもう余生」「いつまでも働かなければならないのか」という声も上がったという。市の担当者は「こうした疑問が市民から寄せられたら丁寧に説明していきたい」と話す。

 同市の4月1日時点の高齢化率(65歳以上の割合)は23・5%と県内でも低い方だが、45年には33・2%に高まると見込まれている。

宣言を読み上げる大木哲市長=大和市大和南の文化創造拠点シリウス

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