熊谷組とJIMテクノロジー、山岳トンネル施工の完全機械化技術を共同開発

 熊谷組はこのほど、JIMテクノロジーと共同で山岳トンネルの完全機械化技術「新KM21TM」を開発した。大深度・大土被りにおける土砂地山から硬岩までのトンネル施工の完全機械化を図るもので、1台の機械であらゆる地山条件の変化に対応し常に最適な掘進機構と支保で施工できる。現在、共同特許を出願中で今後は鉄道トンネルや道路トンネルを対象に適用の検討を行い実用化を目指していく方針。

 本工法は山岳トンネル工法に近い機構を有した機械式トンネル工法。機械本体で地盤改良や水抜きを行いながら掘削する。掘削断面は円形断面に比べ無駄が少なく、合理的な馬蹄型断面とした。また、カッターヘッド直後の坑壁に掘進と並行して吹付けコンクリートと鋼製支保工による一次支保工構造を構築。早期支保を実現するために地山の緩みを最小限に抑えることができる。その後、計測結果に応じてロックボルトの打設や二次吹付けを行う。

 掘進反力はインバートブロックと吹付け面へ拡張したフレームを利用する。以前の「KM21TM」と比較してより山岳トンネル工法に近づけ、掘削断面を馬蹄型にして支保材料を高価な充填式コンクリートから安価で施工性のよい吹付けコンクリートに変えたことなどにより、施工性と経済性がさらに改善されより実効性のある工法となった。

 山岳トンネル工法は人力に頼るところが多く熟練工の減少や切羽災害の発生などが潜在的な課題となっており、機械化施工が望まれてきた。一方、シールド工法は完全に機械化された工法だが超高水圧となる大深度ではシールド本体やセグメント強度に限界があり適用範囲に限りがあった。本工法は大深度・高水圧の地盤条件で省人力化や作業環境改善、安全性や生産性のさらなる向上を図った。

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