五島で初の連続講座 5月から 被害者ら体験語る

 カネミ油症事件の発覚から50年となる今年、被害が集中した五島市で、当事者らがこれまでの体験や事件の経過などについて語る市民向けの連続講座(計6回)が初めて開かれる。
 同市や被害者団体などでつくる「カネミ油症事件発生50年事業実行委員会」(会長・下田守下関市立大名誉教授)が主催。11月ごろ市内で開く50年事業のイベントで、受講者が意見発表する場も設ける方針。
 講座は、被害者の高齢化が進む中、事件の実相や食品汚染の教訓を次世代に継承するのが目的。5~10月に市内で月1回開き、被害者や弁護士、支援者らが講義形式で話すほか、受講者もワークショップ形式で話し合う予定。特に若い世代の参加を促そうと市は今後、市内の中学校や高校にも受講を呼び掛ける。
 市は12日までに、油症被害者に対する本年度の支援行動計画をまとめた。講座や50年事業イベントへの支援のほか、国や原因企業に被害者の要望を伝える活動、被害実態の啓発活動などの取り組みを継続する。
 県内在住の油症認定患者は3月末時点で468人(平均年齢66・7歳)、うち五島市在住は282人(同68・8歳)。

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