林田JFEHD社長「国内造船の再編」促す 海事国際会議で講演

 「造船、海運、鉄鋼の3業界がタッグを組み、世界のトップを走り続けましょう」―。JFEホールディングスの林田英治社長が12日、東京ビッグサイトで開かれている「SEA・JAPAN2018」の国際会議で特別講演した。

 林田社長は鉄鋼業界について、JFEを含む世界上位10社の粗鋼生産シェアが3割にも満たない一方、鉄鉱石や原料炭では寡占化が進んでいる状況を解説。中国では国内で採れる鉄鉱石の品位が低く、環境規制で劣悪な炭鉱が閉鎖されていく点から鉄鉱石、原料炭とも輸入が増えていく可能性を説明した。

 日本造船業については「高い技術力で厳しい環境規制へ真っ先に対応し、エネルギー効率で世界の先頭に立っている」と述べ、その強みの源泉は海運、舶用機器、そして鉄鋼による海事クラスターにあると総括。一例として「海外のお客様へ鋼材をスケジュール通りに事故なく届けていただける、また原料を輸入できるという信頼、配船の確実性、フレキシブルな対応は日本の海運会社でなければできない」と評価した。

 日本造船業には「世界の建造シェアで3割を確保してほしい」と期待した上で、中国や韓国勢と比べ個社の規模が小さく「国内の大手3社を合わせても国内シェアで5割強にとどまる。プレーヤーがまだまだ多すぎるのでは」と指摘した。

米の鉄鋼輸入規制/「国別除外を交渉材料にすべきでない」

 JFEHDの林田社長は特別講演の中で米国政府が発動した通商拡大法232条に触れ、鉄鋼輸入に対する追加関税について「直接的な影響は小さい」と説明し「米国のお客様も(日本の鉄鋼が必要だと)声をあげてくれるだろう」と品種別の除外に期待感を示した。

 一方、韓国などが米と合意した国別の適用除外については、「鉄鋼を外す代わりにトランプ大統領の戦略である2国間の通商交渉へ乗るのは、日本経済にとりリスクが高い。相手の術中に入ってしまうと私は思っている」と慎重な見方を示した。

© 株式会社鉄鋼新聞社