伊勢原市31施設有料・値上げへ 神奈川

 伊勢原市は、公民館やスポーツ施設など31施設100件の使用料を来年7月から有料化または値上げする議案を市議会9月定例会に提出する。少子高齢化に伴う財政悪化が背景にあり、今月14日から市内各地で説明会を開き、市民の理解を求めたい考え。一方で市民の一部からは公民館使用料の無料継続などを望む声も出ている。

 市公共施設マネジメント課によると、有料化するのは公民館の集会室、小中学校の運動場など30施設99件。使用料(1時間当たり)は大半は100円だが、最大は中央公民館の展示ホールで700円となる。値上げは総合運動公園のトレーニング室1件のみで、200円を300円にする。

 ただ、武道館と総合運動公園の2施設では剣道場、柔道場など6件を300円から200円などに値下げする。

 市の人口は4月1日現在で10万2416人と微増傾向だが、推計では少子高齢化で2040年には8万6908人となり、1万5508人減る見通し。生産年齢人口も減少するため、医療や介護、子育て支援などの経費が増加し、厳しい財政運営が続く。公共施設の統廃合、維持運営費の削減が急務となっている。

 12年9月の市長選で財政再建を訴えた高山松太郎氏が初当選。その後、市は16年3月に受益者負担の取り組みや公共施設の統廃合などを打ち出した公共施設等総合管理計画を策定した。

 17年3月に使用料の算定方法などを示した基本方針を決定。同10月に使用料の見直し素案をつくり、同11、12月に市内7カ所で説明会を開き、計331人が出席した。出席者や市議会の意見をもとにさらなる見直し案をつくった。

 見直し案では有料化、値上げによる増収は年間で1700万円を見込むが、この中には有料化に伴う券売機の設置、新たなスタッフの雇用などのコストは含まれていないため、実際の増収額はさらに低くなる。

 今回の説明会は14日の中央公民館を皮切りに、26日まで大田ふれあいセンター、成瀬公民館など7カ所で開催する。

 ただ、市民団体「伊勢原の公共施設を考える会」は6日、市に「公民館の無料継続」を求める署名を提出した。累計で4415筆を集めたという。

 同会の馬場幸子代表(70)は「高山市長になり副市長をそれまでの1人から2人に増やしたことで、人件費などで1500万円余計にかかっている。1人に戻せば有料化、値上げは必要ない」と話している。

有料化の対象となった伊勢原市立中央公民館=同市東大竹

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