昭和の鉄道を映画で 川崎のミュージアム

 鉄道の場面が印象深い名作映画5作品を集めた上映会「鉄道のある風景」が、川崎市市民ミュージアム(同市中原区等々力)で開催され、静かな人気を呼んでいる。4月の週末限定で初めて実施。同ミュージアムは「貴重な映画も所蔵しており、古い作品を時代を超えて伝えたい」と来館を呼び掛けている。

 上映会は、開催中の鉄道写真展と連携。映画担当学芸員の森宗厚子さん(45)が企画し、館が所蔵する約400本の貴重な映画フィルムなどから選んだ。うち4本は昭和期に製作。物語とともに特急の1等車、軽便鉄道、営業運転中の蒸気機関車(SL)などが登場し、消え去った情景やライフスタイルを伝える。

 森宗さんは「鉄道映像は時代の雰囲気を再現する映画の大切な要素。広く知られていない名作を含め、映画館並みの大型スクリーンで楽しめる」と話す。1日に映像ホールで開始された上映会には、昭和を懐かしむ中高年や、貴重な映画見たさに訪れた30~40代のファンの姿があったという。

 5作品のうち「遠い一本の道」(左幸子監督、1977年)は、鉄道そのものが舞台。旧国鉄の合理化に翻弄(ほんろう)される北海道室蘭本線追分駅保線区で働く鉄道員と家族の愛情を描いた。森宗さんによると、一般の映画館ではあまり上映されなかった“知る人ぞ知る”作品だ。

 ほかの4本は「蜂の巣の子供たち」(清水宏監督、48年)、「カルメン故郷に帰る」(木下恵介監督、51年)、「彼岸花」(小津安二郎監督、58年)、「珈琲時光」(ホウ・シャオシェン監督、2003年)。

 上映会は14、15、21、22日の4日間行われる。午前11時と午後2時の開始で、1回1作品の上映。料金は一般600円、高校生・大学生・65歳以上500円、小中学生400円。問い合わせは、同ミュージアム電話044(754)4500。

所蔵する35ミリフィルムの名作映画などを選び上映会を企画した学芸員の森宗厚子さん=川崎市市民ミュージアム

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