権限移譲、一部政令市に 災害救助法改正案

 災害時の仮設住宅整備など被災者支援の権限を都道府県から政令指定都市に移すことを可能とする「災害救助法」改正案の概要が13日、分かった。都道府県との連携体制が確認された政令市を首相が指定し、救助に必要な資源の調達・配分など市町村間の調整は都道府県が担うことを明確化する。全国知事会と指定都市市長会の議論は平行線をたどっているが、政府は月内にも閣議決定し今国会への提出を目指す方針だ。

 同日開かれた自民党の災害対策特別委員会で、内閣府が初めて概要を示した。資料などによると、指定するのは全国20政令市のうち都道府県同等の災害対応能力を持ち、所在する都道府県が同意した政令市。人口や財政規模、組織体制といった具体的な指定基準は法成立後に協議の場を設けて規定する。

 また、食料や住宅資材といった資源の調達・分配に関しては、政令市以外の市町村に支障が生じないよう都道府県の広域調整機能を明確にする。指定した政令市にも災害救助基金の積み立てを義務付ける。

 国は改正効果として、大規模災害時の救助内容や財源配分について政令市との直接調整が可能となり、実務の迅速・円滑化が期待できるなどと説明。改正案は今国会で成立させ、来年4月の施行を目指している。

 現行法は住宅整備や避難所運営などの権限は都道府県にあるとし、知事は市町村に事務委任できると規定。権限移譲を求める政令市に対し、都道府県側は「現在の仕組みで対応可能」「他市町村と不公平が生じる懸念がある」などと反発している。

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