権限移譲の議論は平行線 災害救助法改正案で知事と横浜市長

 災害救助法改正で最大の焦点となっている権限移譲を巡り、都道府県と政令指定都市の主張は交わらないままだ。自民党が13日に開いた災害対策特別委員会には、黒岩祐治知事と横浜市の林文子市長が出席。法改正に反対する全国知事会と、推進する指定都市市長会の見解を代弁した。

 衆参国会議員らのヒアリングとして非公開で行われた会合。委員長の今村雅弘元復興相に「参考人」と紹介された2人は、「普段は仲がいい。権限争いしてるわけではない」と念押しした上で意見を述べた。

 出席者らによると、黒岩知事は「権限がないことで具体的な支障は確認されておらず、法改正は拙速」と指摘。「1年以上の議論でも道府県の理解は進まず、救助主体の多元化による弊害への懸念は払拭(ふっしょく)されていない」と語り、分権論ではなく命を守るための議論をすべきと訴えた。

 一方、林市長は「政令市は財源負担していながら救助内容の決定や実施ができない」などと問題提起。都道府県の懸念に対しては「指揮命令系統は二元化されない。政令市が資源を先取りする事態が生じることもない」と理解を求め、今後も県の指示の下で連携していくと強調した。

 会合後、黒岩知事は「法改正が拙速と理解された。機が熟さないまま強行されることはあり得ない」。林市長は「被災地域の議員は状況を分かっており、法改正を進めるべきと後押しを頂いた」と語った。

国会議員らに主張を訴える黒岩知事(左)と林市長=自民党本部

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