原城一揆まつり演劇初披露 雨で十数年ぶり屋内 「平和のシンボルに」犠牲者追悼 南島原

 第27回原城一揆まつりが14日、長崎県南島原市南有馬町の南有馬体育館であった。あいにくの雨のため、原城跡から十数年ぶりに屋内に会場を移した。日中はステージイベントでにぎわい、夜は追悼式典で一揆犠牲者をしのんだ。
 まつりは、原城跡が舞台となった島原・天草一揆(1637~38年)の一揆軍と幕府軍の犠牲者計約4万人を追悼しようと、実行委(内山哲利会長)が毎年開いている。
 原城跡を含む「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は今夏の世界遺産登録に期待がかかる。ステージでは、登録への機運を盛り上げようと肥前千々石鉄砲隊(雲仙市、永岡藤仁隊長)が初めて企画した演劇を披露。南有馬中生徒とともに、幕府軍と一揆軍の攻防を熱演した。同校生徒の演舞「落城の賦」や和太鼓演奏などもあった。
 式典は約90人が出席。内山会長が「先人の苦労が時を超え、世界遺産登録として私たちに享受されようとしている。原城跡を保存管理し、平和のシンボルとして発信することで慰霊につなげたい」とあいさつ。同校3年の川口凜央(りお)さん(14)と菅心之輔(かんしんのすけ)さん(14)が「戦争という悲しい物語を二度と繰り返さない」と決意を語った。
 例年は原城本丸跡の天草四郎像に向けて献花しているが、今回はステージに祭壇を設置。ゴスペルが流れる荘厳な雰囲気の中、市民らが花を手向け、手を合わせた。

幕府軍と一揆軍の攻防を熱演する肥前千々石鉄砲隊や生徒=南島原市、南有馬体育館
追悼式典で献花する参列者

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