山伏が柱に上って刀を振るい、修行の満願成就や参詣者の平安を祈る伝統行事「神木(しぎ)のぼり」が15日、伊勢原市日向の日向薬師境内で行われた。
日向薬師は明治初年まで修験の拠点となっていたが、神仏分離によって神木のぼりも廃止されていたという。1974年に地元住民有志らによって復活し、今年が45周年になる。
法螺貝(ほらがい)の音とともに5人ほどの旅の山伏が境内に現れ、日向薬師の山伏と問答する「山伏問答」を展開。一行が、境内にしめ縄を張った結界に入ると、四方に向けて矢を放ち邪気を払った。山伏の1人が高さ3メートルほどのシイの木の柱に上り、体を柱にくくりつけ、修行の満願成就と参詣者の安穏平安を祈る祈願文を読んだ。腰の刀を抜くと「臨兵闘者皆陳烈在前」と唱えながら刀を縦横に振って九字を切った。
前日からの雨も午前中に上がり、境内にはたくさんの見物客が集まった。山伏の動きをカメラに収めながら、要所要所で「おー」と感嘆の声を上げたり、拍手を送ったりしていた。火の中を歩く「火渡り」も行われ、山伏に続いて多くの参詣者が体験していた。