金属行人(4月16日付)

 電炉鉄筋メーカーの苦境が続いている。原料高から製品価格を引き上げてきたが、4月から電極・耐火物・合金鉄など副資材や、輸送費、人件費も上昇してコスト構造が大きく変わっているからだ。「鉄筋メーカーの3月決算は一部で黒字もあるが、ほとんどが赤字」といわれており、4月も赤字様相が続いている▼4月からの副資材、輸送費など諸コストの上昇分は、メーカーによって異なるものの、製品1トン当たり3千~5千円ほどになりそうだ。特に電極価格は1年前に比べて2~3倍に跳ね上がっているという▼鉄筋各社が足元で出荷している製品価格は「地域差があるが、関西では6万円にようやく乗ってきたところ」(メーカー)という。鉄スクラップ価格と製品価格の差であるスプレッドは2万5千円もない状態だ▼鉄筋は、長期では1年先まで受注するケースも多い。そうなると出荷時の原料価格次第で採算に狂いが出る。「先物受注は3~6カ月先までとし、それより先物は辞退する」と各社が足並みをそろえない限り、採算計画もおぼつかない▼形鋼など店売り在庫商品の先物受注はせいぜい2カ月でメーカーも計画を立てやすい。直送販売が主流の鉄筋には難題だが、それができないと淘汰されていく。

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