『レディ・プレイヤー1』 ゲームの世界と現実の世界が共鳴する近未来アクション

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 3月30日に『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』が日本公開されたばかりのスピルバーグの新作だ。今回は、報道の自由をうたう社会派ヒューマンドラマだった前作から一転、痛快な冒険アクション。『ジュラシック・パーク』と『シンドラーのリスト』という対照的な代表作を同じ1993年に発表したことを思い出させる。

 27年後の近未来を舞台に、理想の人生を楽しむことができるVRゲームの世界と、それを操作する現実の世界が交互に描かれる。本作の肝は、まさにその交互に描かれる点。『ジュマンジ』のように行って帰ってくるのではなく、ゲームの世界と現実の世界が共鳴し合うことでスリルを高めているのだ。しかも、前者はCGアニメによる宝探しの醍醐味に満ち、後者は日常性を漂わせつつも逃亡劇になっていて同様に冒険要素がしっかりとある。

 スピルバーグの真骨頂は、実は後者の方。主人公が、生活する幾重にも積み上げられたトレーラーハウスからゲームをする部屋まで通う道程を通して示される現実世界の見事な空間設計が、平面的なゲームの世界とコントラストを成していることで、場面転換のカットを省略してテンポよく冒険を見せられている上、時にはそれを観客に仕掛けるトラップにも利用している。当代随一のストーリーテラーと呼ばれるスピルバーグだが、そのゆえんは語り口のうまさ以上に“映像で語れる”というところにあるのだ。★★★★★(外山真也)

監督:スティーブン・スピルバーグ

原作:アーネスト・クライン

出演:タイ・シェリダン、オリビア・クック、ベン・メンデルソーン

4月20日(金)から全国公開

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