【MLB】正左翼手が復帰間近でイチローの去就どうなる? 米記者「遅かれ早かれ…」

マリナーズ・イチロー【写真:Getty Images】

6年ぶりマリナーズ復帰も…「イチローとの関係の分岐点が迫ってきている」

 マリナーズに6年ぶりに復帰したイチロー外野手は、ここまで9試合に出場して打率.207(29打数6安打)。開幕前の負傷を乗り越え、今季2戦目の3月31日(日本時間1日)インディアンス戦では本塁打キャッチ&マルチ安打で本拠地セーフコ・フィールドを沸かせたが、出場9試合中5試合で無安打に終わるなど波に乗り切れていない。故障していたレギュラー左翼手が復帰間近となっており、地元メディアは退団になる可能性もあると伝えている。

 かつて地元紙「タコマ・ニューストリビューン」の名物記者だったボブ・ダットン氏は、地元ラジオ局「クレイ」の電子版に「避けることのできないイチローに関する決断がマリナーズに急速に迫っている」とのタイトルで記事を寄稿。「フランチャイズの象徴である外野手のイチローとの関係の分岐点が迫ってきている」と伝えた。

 同氏は、「小さなサンプルサイズ」と前置きした上で、開幕からチームが14試合を消化した時点でのイチローのプレーについて「かつての見事な才能に著しい陰りが見えていると言わざるをえない」と厳しく指摘。開幕を故障者リスト(DL)で迎えた正左翼手のベン・ギャメルのメジャー復帰が間近であることに触れ、今後の展望について記している。

 現在、マリナーズの外野手は右翼のハニガー、中堅のゴードン、そして左翼のイチロー、ヘレディアの4人体制。左翼は、相手先発が右腕だとイチロー、左腕だとヘレディアという起用法になっている。

 打撃に課題があるとされている27歳のヘレディアだが、ここまで24打数6安打の打率.250、2本塁打、4打点とまずまずの成績。ジェリー・ディポトGMは、ギャメル復帰後は外野手5人体制を維持する可能性に言及しているが、記事では「(ずっと)維持するのは難しい」としている。25人のアクティブ・ロースターのうち、先発投手5人、ブルペン8人という構成は変わらない可能性が高く、外野手5人体制では偏りがあるとの見方が強い。

ダットン記者が「明らかに困難」と指摘するのは…「あの”イチロー”だということ」

 ダットン氏は「遅かれ早かれ、仲間外れになる選手はスズキだろう」と指摘。外野手を1人削るとなった場合は、ヘレディアではなくイチローが対象になる可能性が高いというのだ。

 一方で、マリナーズがイチローを戦力外にする難しさについても言及。開幕戦では、イチローの名前が場内にコールされただけで大歓声が起こり、打席に入った際にはスタンディングオベーションが起こるなど、シアトルで背番号51は絶大な人気を誇る。開幕直後で、まさに「サンプルサイズ」が少ない中でレジェンドを簡単に切るという選択をできるのか。イチローはキャリアを通じてスロースターターであるという事実もある。

 記事では「明らかに困難なこととしては、マリナーズを去るのがあの”イチロー”だということだ。多くのファン、そしてデータ分析に関わるものにとっても、これ(イチローの退団)は悲しみの時となることだろう」とした上で「彼の退団が世間の批判を浴びることになるかどうかは、まさにイチロー次第である」と結論づけている。

 ディポトGM、そしてスコット・サービス監督は、44歳のベテランに絶大な信頼を寄せている。プレーに加えて、試合への準備や野球に取り組む真摯な姿勢で同僚に与える影響も大きい。マーリンズ時代からの同僚であるゴードンは、試合前の練習では絶えず尊敬するイチローとコミュニケーションを取っており、主砲のロビンソン・カノらと談笑する場面も多く見られる。9勝5敗と上々のスタートを切ったマリナーズの中で、イチローの存在がどれだけ大きいかも首脳陣は見極めることになるだろう。

 17日の本拠地アストロズ戦の相手先発は右腕のマッカラーズJr。イチローは先発起用となる可能性が高い。地元メディアが厳しい論調で伝える中、快音を響かせることができるだろうか。

(Full-Count編集部)

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