人種差別撤廃、ちらしで川崎市を後押し

 人種差別撤廃条例の早期制定を川崎市に訴えている市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」は17日、市庁舎前でアピール活動を行った。求められる条例のあり方を記したちらしを配布。制定に向けた市の動きを後押ししたい考えだ。

 ちらしは3月に市と市議会へ提出した意見書を簡略化したもの。盛り込むべきとした禁止規定や刑事罰を含む罰則、インターネット対策の強化などを列挙し、市職員や道行く市民に約350枚を配った。

 条例の必要性は市人権施策推進協議会が2016年12月の報告書と今年3月の答申に明記。福田紀彦市長も昨秋の市長選で公約に掲げ、市議会も「ヘイトスピーチの根絶に関する決議」を全会一致で可決している。

 メンバーは庁舎玄関前で「人権侵害を繰り返させず、市の施策で差別を禁止し終了させるのが『オール川崎』の思い。福田市長と市職員は胸を張って条例制定のスケジュールを示してほしい」と呼び掛けた。鈴木賢二市民文化局長にも面会し、制定の期限や工程を明らかにすることなどを求める要望書を手渡した。

 市では公的施設でのヘイトスピーチを事前規制する全国初のガイドラインの運用がスタート。この日の定例記者会見で、福田市長は期限を明言しなかったものの「段階的にやるべきことをやっていく。ヘイトスピーチが許されないという市の姿勢は不変。議会の決議もある。次は条例化に向けた取り組みを丁寧に進めていく」との考えを示した。

人種差別撤廃条例の早期制定をアピールする市民ネットワークのメンバー=川崎市庁舎前

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