排ガス中の水銀除去システム、JFEエンジが商品化 大気汚染防止法の改正に対応

 JFEエンジニアリング(社長・大下元氏)は17日、廃棄物焼却施設の排ガスに含まれる水銀を除去する新システムを商品化し、今月から販売を開始したと発表した。大気汚染防止法改正に対応したシステムで、1年間の実証試験では最も厳しい新施設向けの基準値である30マイクログラム/N立方メートル以下を維持できたほか活性炭の使用量を従来比半減させコスト削減にも貢献できることを確認した。今後、年間2~3施設での適用を目指していく方針。

 排ガス中の水銀は濃度を分析計によって計測可能で、活性炭を吹き込むことで除去できる。しかし、排ガスには分析計に悪影響を与える多量の煤塵が含まれているため、従来は水銀濃度に合わせた適切な量の活性炭を吹き込むことが困難だった。そこで、同社は水銀測定装置の専門メーカーである日本インスツルメンツと共同で煤塵除去機能を有する装置を開発。変動する水銀濃度に対応し最適量の活性炭をタイムリーに吹き込むことができるシステムを独自に構築した。

 排ガス中の水銀を巡っては2013年に水銀による環境汚染防止を目的として「水銀に関する水俣条約」が採択され17年8月に発効した。日本ではこれを受けて大気汚染防止法の一部が改正され、今年4月から排ガス中の水銀濃度が規制された。本システムはこれに対応したもので同社は本システムの提供によってより安全な廃棄物処理施設運営の実現に寄与していく構え。

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