長谷子ども会館閉館へ 明治期の洋館、国有形文化財

 明治期に建てられた洋館で国指定登録有形文化財の「長谷子ども会館」(鎌倉市長谷1丁目)が28日、閉館する。昨年秋の台風で外壁が剥がれ落ちるなど劣化が激しく、耐震診断で震度6強から7の地震で倒壊や崩落の恐れがあるとされたため。子どもの遊び場として利用してきた地域住民からは惜しむ声が上がっている。

 閑静な住宅街にある同会館は木造2階建て。円が連なった華やかなデザインのバルコニーやギリシャ様式の柱などが特徴的で、ドア枠や窓枠などにも手の込んだ装飾が施されている。

 市によると、1908(明治41)年に株式仲買人福島浪蔵別邸として建てられ、その後所有者が移り変わり、80年に市に寄贈された。関東大震災で多くの建物が被害を受けた鎌倉で、明治期から残る数少ない洋館という。2006年には国の登録有形文化財に指定された。市は保全や活用の在り方について今後検討する。

 乳幼児から中学生の子どもたちが自由に遊べる場所として、建物の一部が利用されてきた。年間約1万人が訪れる地元で人気の場所で、18日午後も建物の外まで笑い声が響いていた。

 3人の子どもが週に数回利用してきたという女性(37)は「地域の子どもたちが集まれる貴重な遊び場だった」と残念がっていた。

28日に閉館する長谷子ども会館=鎌倉市長谷一丁目

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