豪華ヨット進む誘致 横浜に初入港

 個人が所有する世界最大級の豪華ヨットが19日早朝、横浜港に初入港した。船首が上下逆さまになったような斬新なデザインが特徴で、入港を出迎えた市民らは“浮かぶ豪邸”さながらの存在感に圧倒された様子だった。

 モーターヨット「A」(5959トン)はマーシャル船籍で全長約120メートル、幅18メートル。甲板にヘリポートを備えるほか、船内は最高級ホテル並みの内装が施されている。

 船舶代理店によると、ロシアの富豪らが2カ月をかけて日本国内を観光しながら巡る船旅の一環で寄港。横浜には約2週間停泊する予定。

 富裕者層が所有する豪華ヨットは近年大型化して「スーパーヨット」と呼ばれている。拠点となっているモナコなどの地中海やカリブ海から、世界中に航海に出るようになった。寄港地は経済波及効果が期待されることから、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)や20年東京五輪・パラリンピックも視野に、日本でも誘致の動きが始まっている。

 モーターヨット「A」が19日、横浜港に初入港した。港湾関係者らでつくる「スーパーヨット誘致会議・日本」(会長・小谷昌、元京浜急行電鉄会長)の誘致活動が結実した。

 協議会の理事は金田孝之・元横浜市副市長。藤木企業(横浜市中区)の藤木幸太社長や、一般財団法人みなと総合研究財団スーパーヨット研究員で船舶代理店「SYLジャパン」(東京都港区)の稲葉健太代表取締役らが名を連ねる。

 スーパーヨットは全長24メートル以上の個人所有の船で、世界中で約1万隻が運航されている。ラグビーW杯や東京五輪・パラリンピックに向けて全国の港湾で受け入れ態勢を拡充するとともに日本の魅力や優位性を発信するなど誘致活動を進めていく考えだ。

 藤木社長は神奈川新聞社の取材に「観光立国を目指す日本にとって、富裕者層のハイエンド市場を充実させることが必要不可欠。横浜港が先頭に立ってその役割を担っていきたい」と話している。

斬新なデザインで注目を集めたモーターヨット「A」 =19日午前6時45分、横浜港

© 株式会社神奈川新聞社