「アルミニウムチャイナ2018」中国圧延大手、続々と参加表明 車軽量化、タイ市場に焦点

 7月11日に開幕するアジア最大級のアルミニウム展示会「アルミニウムチャイナ2018」(ALU18、上海新国際博覧中心W1~W3館)まで3カ月を切った。アルミ板や押出製品といった圧延品をはじめとして生産、加工機械まで産業全体を網羅した世界的イベントに中国大手メーカーなど多くの企業が参加を表明している。

 中国のアルミ産業は昨年、生産能力過剰問題の緩和や環境保全措置の発表に伴ってアルミ価格が大幅に値上がりし、新規設備に対する需要が創出された。中国の17年の電解アルミニウムの生産量は前年比12・2%増の2650万トン。一方で、川下の加工品(アルミ板・形材・箔・粉末・鋳造品など)の生産量は前年比8・5%増の3820万トンに上った。新興市場の発展により、今もアルミ消費量は増え続けている。

 こうした中、世界のアルミ圧延品マーケットにおける中国製品は数量だけでなく品質面でも存在感が向上。昨今は技術開発や品質向上に力を入れるメーカーが散見されている。そうした勢力の筆頭である山東南山アルミ業や中国アルミ業をはじめとして叢林集団、中国忠旺、河南中孚実業、南南アルミ業、福建省南平アルミ業、山東魯豊アルミ箔、河南明泰アルミ業、蘇州銘徳アルミ業、広東鳳アルミアルミ業、青島雲海アルミ業、山東裕航特種合金装備、広東和勝工業アルミ材、伏能士智能設備(上海)、内モンゴル開元生態アルミ業といったメーカーがALU18に参加を表明。

 欧米からは、オランダのコンステリウムも出展を計画しているほか、SMSグループやダニエリ、AP&Tなどの海外の著名設備メーカーも名を連ねており、最終的には500の企業・団体が出展する見込みだ。これらの企業が展示するアルミ圧延品や加工設備の視察、商談を目的に2万人を超える来場者が期待されている。

 今展示会には、日本からも商社や流通、圧延メーカーの担当者が訪問する予定だ。国内のアルミ板需給にタイト感がみられ、材料調達に苦心する状況も散見される。こうした中で、新たな調達先の獲得に向け、品質の良い製品を造る中国メーカーを見極める絶好の機会となりそうだ。

 ALU18では東南アジア市場にも焦点を当てている。昨今の著しいGDPの伸びに加え、今後も人口や所得の増加によってアルミの消費が増えると見込まれる同地域に焦点を当てるため、〝タイ〟に関連したイベントを開催する。展示会を主催するリード・エグジビジョン・チャイナ社はタイの関係政府部門、業界団体、企業、公的機関を招待し、タイのアルミ産業政策を共同で分析する機会や、アルミ市場を踏み込んで検討する場を提供する。11日には「タイ・アルミフォーラム」を開き、タイの金属業界や非鉄金属工業の発展状況などを講演する計画だ。

 今回のALU18では、W4館で併催される〝2018アジア自動車軽量化展覧会〟も大きなトピックとなっている。

 世界最大の自動車生産国である中国では、政府主導で自動車の環境規制が強化されており、その一環として電気自動車の普及促進が加速。燃費改善に向けた自動車の軽量化が急務となっている。これらの分野に対し、アルミやマグネシウム、チタン合金などのニーズが強いことに対応し、リード社は新たな展示会を開催することを判断した。

 同展示会では軽量化材料だけでなく、鋳造や鍛造、ダイカスト、表面処理に加えてマルチマテリアルを達成する上で欠かせない接合といった加工技術も展示の対象となる。世界各国の自動車メーカーの購買担当者も訪問を計画していることから、需要な商談の場にもなりそうだ。

 各展示会の詳細は「アルミニウムチャイナ2018」が(URL=http://www.aluminiumchina.com/)、「2018アジア自動車軽量化展覧会」が(URL=http://www.lightweightasia.com/)に記載されている。いずれも中国語、英語が用意されている。

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