横須賀市:「近代遺産活用」国が財政支援 地方再生のモデル都市に選定 横須賀市

 国土交通省は先月30日、地方再生「モデル都市」として32都市を選定、県内では横須賀市と小田原市が選ばれた。市では、ティボティエ邸を活用したガイダンスセンター整備を中心に「ルートミュージアム」の構想を展開しており、これに対し、今年度から3年間に渡り、各種交付金や相談など支援を受ける。

 人口減少や地域経済の縮小など課題を抱える地方都市において、目に見える形での「再生」を国が後押しする。都市のコンパクト化や拠点地域の形成を図り、地域資源を活用して街自体の「稼ぐ力」を向上させるのが狙い。空き店舗対策や城下町の再生、官民連携した地域振興などを例に全国で「地方再生」の取り組みを募集し、77の自治体から応募があった。事業内容・連携体制・持続可能性などの観点から審査され、横須賀市を含む32都市が「モデル都市」に選定された。

ティボティエ邸を活用

 市が支援を受けるのは、市内の近代遺産をつなげて街全体を軍港資料館としてとらえる「ルートミュージアムの整備」。ヴェルニー公園内にティボティエ邸(旧横須賀製鉄所副首長官舎)を活用した観光ガイダンスセンターを2020年秋の開館に向けて整備し、これを中核に、市内に点在する歴史文化資源を「サテライト拠点」として回遊性を高めていく考え。多言語対応の情報板設置やVRなどのデジタルコンテンツの活用、猿島・千代ケ崎砲台跡の史跡整備関連調査や走水低砲台跡を活用した公園施設の整備も計画に含まれている。

 同事業のほかに、「横浜DeNAベイスターズ総合練習場」の設置を契機にした「追浜地区でのスポーツを核としたまちづくり」も選ばれており、2つを合わせた総事業費は7・9億円。国による支援は3年間で事業内容に合わせて各種交付金を受ける方向。市の担当者は「市長が掲げる再興プランの軸となる事業。周遊や集客を”稼ぐ力”に換えられるよう民間や地元商店街などと連携した仕掛けも考えていきたい」と話している。

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