「緩やかに拡大」 個別項目は据え置き日銀 4月県内景気

 日本銀行横浜支店は20日、4月の金融経済概況を発表し、神奈川県内景気について「緩やかに拡大している」と判断を上方修正した。2017年12月に「緩やかに拡大しつつある」と上方修正して以来。個別項目については、これまでの基調判断を据え置いた。播本慶子支店長は「景気の拡大という表現を定着的に使っていける状況になってきた」としている。

 個別7項目では、生産が「増加している」。輸送機械では、国内向けトラックや乗用車が底堅く推移し、全体として持ち直しているとした。また、電気機械もデータセンター向け電子部品や自動車向け製品、外部記憶装置などが増加。

 輸出は「増加している」で、引き続きアジア向け半導体等製造装置などが増加。18年度の輸出も小幅ながら前年度を上回る計画になっているという。

 設備投資は「高い水準で推移している」。設備投資計画は高水準を維持しているほか、18年度も製造業、非製造業とも増加し、全体で前年度を1割弱上回る計画となっている。

 雇用・家計所得環境は、有効求人倍率の高水準が続き、春季賃上げ要求妥結状況も前年を上回ることから「労働需給が引き締まりを続けているほか、所得環境も着実に改善している」。気温上昇で春物衣料などが動くなどし、個人消費は「持ち直している」とした。

 住宅投資は「基調としては弱めの動きとなっている」。着工ベースでは分譲マンション・一戸建て、貸家などが増加したものの、賃貸アパート建設などは一巡しているという。公共投資は、請負額では独立行政法人や地方公社などが増加したが、市町村や国などは減少し「基調としては増加している」とした。

 播本支店長は、「現在の景気には中国の設備投資需要を背景にした生産、輸出の増加が相当貢献している。米国の通商を巡る動きで米国と中国の貿易に変調を来すようなことがあれば、外需に水を差しかねない。こうした点を注視していく必要がある」とした。

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