小さくなる土産菓子

 旅行者向けの土産菓子が小さくなっている。正確に言うと、少量単位で販売する商品が増えている▲空港や駅の土産物売り場をのぞくと、菓子コーナーにかつては見かけなかった小さなパッケージが並んでいる。数カットのカステラをはじめ、本県のブランド菓子が2個詰め、3個詰め…。価格は数百円から千円未満▲店員によると、少量少額商品が目に付くようになったのはここ数年。よく売れるという。「職場で土産の菓子を配る習慣が薄れてきたのでは」「家族の人数が減り、土産は少量で十分になったのでは」との見方▲旅行の土産には、日ごろ付き合う相手へのさりげない感謝の気持ちがこもる。土産菓子の売れ方から、昨今の人間関係のありようの変化を読み取ることが可能かもしれない。土産を渡してあいさつをしたいと思うほど、気に掛けながら付き合う相手の数が減ってきたのでは▲会員制交流サイト(SNS)の普及で、多数の人と簡単につながることができる時代になった。趣味や関心を通した交友が豊かになるのはいいことだろうが、スマホの画面を通すその関係は、どれくらい確かなつながりなのだろう▲たまには土産菓子を持参して会いに行き、その確かさを実感するのもいいかもしれない。小さなパッケージにでも、気持ちを込めて。(泉)

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