メクル第267号 睡眠について考えよう

 日曜日は朝寝坊(ねぼう)のペンタロー。大好きな二度寝をしようと目をとじた瞬間(しゅんかん)、ふと思いました。
「あれ? ぼくたちはなぜ眠(ねむ)るんだっけ?」
 考えすぎて眠れなかったペンタローは次の日、メクるんと一緒(いっしょ)に長崎大学病院総合診療科(そうごうしんりょうか)と済生会(さいせいかい)長崎病院睡眠医療(すいみんいりょう)センターに勤務(きんむ)する近藤英明(こんどうひであき)先生(54)に話を聞きに行きました。

 ペンタロー: 近藤先生、ぼくたちはどうして毎日眠るんですか?

 近藤英明先生: それは…「そのうち眠くなるから」です。
というか、なぜ眠るのかはまだ分かっていなくて、分かればノーベル賞もの。
睡眠(すいみん)は体と脳(のう)を休めて、疲(つか)れを回復(かいふく)させる効果(こうか)があるけれど、わたしたちが寝ている間に脳の中ではいろんな現象(げんしょう)が起こっているんだよ。

 メクるん: 脳は休んでる時も働いているってことですか?

 近藤英明先生: そう、脳内のごみのクリーニングや、1日の生活リズムを調整するほか、体の成長に欠かせない物質(ぶっしつ)を出したり、記憶(きおく)を整理して覚えさせたりするのも睡眠が持つ大きな役割(やくわり)。
勉強や知識(ちしき)の記憶だけでなく、体の動作も記憶するから、スポーツや楽器演奏(えんそう)の上達も期待できるんだ。

 ペンタロー: へぇー!じゃあ寝れば寝るほど良いのかな?

 近藤英明先生: 体質によって個人差(こじんさ)もあるけど、アメリカの国立睡眠財団(ざいだん)が2015年に発表した「年齢別(ねんれいべつ)の望ましい睡眠時間」を見てみよう。
 年齢が上がるにつれ、睡眠時間がへっていくね。年齢と照らし合わせると、だいたい小学生なら9~11時間、中高生は8~10時間がすすめられているよ。

 メクるん: ぼくは毎日9時間は寝ているから大丈夫(だいじょうぶ)。

 ペンタロー: オレっちは休みの前日におそくまで起きてて、ついゲームに熱中しちゃうな。でも、長く寝て取り返せば問題ないですよね?

 近藤英明先生: 寝る前にスマートフォンやタブレット、ゲーム画面を見るのは良くないなぁ。
強い光の刺激(しげき)は、眠りをうながす物質が出てこなくなって、眠りにくくなってしまうから。
夕食を食べたら、使わないようにしようね。
 それから、人は目覚めてから14~16時間後に眠くなるようになっているから、起きる時間がおそくなる分、寝る時間までおそくなってしまうよ。
睡眠のリズムがくずれると、病気になりやすくなるなどのおそれも出てくるから、昼寝をしすぎたり休日に長く寝たりせず、なるべく一定にたもつことが何より大事なんだ。

 ペンタロー: でも、うちは家族の帰りがおそくて、夕食やお風呂(ふろ)の時間、寝る時間がおそくなって
しまうんですけど~。

 近藤英明先生: そうだよね。
それぞれの家庭の事情(じじょう)があると思うから、子どもだけの問題とはいえません。
この機会に、おうちの人と生活習慣(しゅうかん)について話し合ってみよう。

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