横浜・山手の居留地探訪を 住人の変遷、建物画像、市民グループがデータベース化

 横浜市中区山手町にあった外国人居留地の情報を、地番ごとにデータベース化した「ブラフアーカイブス」がインターネットで公開されている。作成しているのは市民グループ「横浜山手アーカイブス」(NPO法人申請中)。メンバーがかつての住人らから聞き取った記録などを基に、横浜に残る貴重な歴史資産を発信している。

 データの柱になっているのは、グループの前身「山手歴史文化研究会」が居留地だった地区の外国人住民や関係者から聞き取った記録。研究会として組織化する前の1997年ごろから始め、現在も続けている。山手の歴史を学んで後世に残そうと、住まいや近隣の建物、買い物をしていた場所など暮らしぶり、季節の行事の様子といった幅広い内容を記録してきた。2017年に、山手に居留地が置かれて150年を迎えたことを記念し、蓄積した情報を整理してデータベース化することを決めた。

 現在は26軒分を公開。地番ごとにかつて住んでいた人の情報や建物の用途、現在の状況などを解説し、主に幕末から大正期の建物などの画像も掲載している。横浜開港資料館が所蔵する1870~1942年(一部の年代を除く)の日本在住外国人人名録を活用し、居住者らの変化が分かる年表も併記した。今後、内容をより充実させていく予定だ。代表の嶋田昌子さんは「山手は居留地時代の地番が現在まで変わっていないため、(情報を)追いかけることができる」と話す。

 山手地区には、かつて住んでいた人の子孫らが情報を求めて今も訪ねてくる。嶋田さんは「ネットで公開することで常時、誰でも見ることができる。蓄積されたデータは、歴史や文化の大切さを示す根拠にもなる」と意義を強調している。

 毎月第3日曜日の午後1時から4時まで、山手234番館でメンバーが相談などに応じている。「ブラフアーカイブス」のURLはhttp://www.bluff.yokohama/

代表の嶋田さん(右端)、事務局長の渡辺毬子さん(右から2人目)ら「横浜山手アーカイブス」のメンバー=山手234番館

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