教員勤務時間に上限 相模原市教委、事務支援要員も配置

 相模原市教育委員会は本年度から、市立小中学校教職員の長時間勤務対策として「学校現場における業務改善に向けた取り組み方針」をスタートさせた。本年度中に教員の勤務時間の上限を設定するほか、事務作業などのサポート要員を大規模校に配置するなど一部対策を始めている。

 市教委では教員が置かれている現状について「不登校や外国人児童生徒への日本語指導など課題が複雑化・多様化している」と指摘。その上で「教員自身が使命感を抱いて『教師という仕事だから仕方がない』ととらえる人も少なからずいる」と分析した。

 改善するために(1)意識改革と学校運営マネジメントの強化(2)学校における徴収金対応(3)部活動のあり方(4)授業や課外活動などに関する支援体制の強化と学校現場の環境整備-など7項目の取り組み方針を示した。

 「意識改革と学校運営マネジメントの強化」では、最大の課題である長時間労働是正策として「市内で統一した教員の勤務時間の上限設定」を打ち出した。本年度中に設定する。

 副校長、教務主任など管理職教員と事務職員などの間で、仕事の分担が学校によってまちまちになっている状況も課題とし、「学校現場の全教職員の役割分担の明確化」を盛り込んだ。

 「徴収金対応」は、現状は給食費や修学旅行費用などを児童生徒が現金で学校に持参しているが、市の予算に盛り込むことで教職員が費用徴収をしなくてすむ「公金化」を検討するなど、教員の負担が減る方式を検討する。

 部活動については、平日は週1日以上、土日祝日は月に2日以上の休養日を必ず設定することとした。夏休み中の活動日数は、大会やコンクールなどを除いて原則20日以内とする。休日の試合などの際に顧問の教員の代わりに引率などができる「部活動指導員」を導入することも検討する。

 さまざまな資料を生徒や保護者用に大量に印刷するなど事務作業も負担になっているため、事務を補助するスクール・サポート・スタッフを、児童生徒数800人以上の8小学校と3中学校に配置した。今後拡大する。

 市立学校の教員と学校事務員の合計は小学校が1895人、中学が1048人。勤務時間数の把握などは行われていない。

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