長崎市長選まで1年 県議、市議に動き 情勢混沌 前回無投票から一転

 2019年4月25日の任期満了に伴う長崎市長選まで約1年となった。3期目の現職、田上富久氏(61)は4選への態度を明らかにしておらず、慎重に検討しているとみられ、表明時期が注目される。一方、同市区選出の県議、高比良元氏(65)は既に出馬を表明し、市議の橋本剛氏(48)も出馬する見通しだ。ほかにも出馬を模索する動きがある。前回の無投票から一転、情勢は混沌(こんとん)としてきた。
 JR長崎駅周辺で新幹線の建設工事が進む。その隣の海沿いにある駐車場がMICE(コンベンション)機能を中核とする複合施設の用地だ。「ハード、ソフト両面から21世紀の長崎の基盤づくりを進めている」と話す田上氏の肝いり事業の一つで、2021年11月の開業を目指している。とはいえ市議会内では建設慎重論が根強く、着工のめども今のところ立っていない。
 田上氏は次期市長選への態度は「適切な時期に示す」と述べるにとどめる。ただ、市議会内では「懸案事項を途中で放り出す訳にもいかないのでは」として出馬するとの見方が多く、表明時期も「11月議会」「9月議会」との予想がある。
 出馬すれば4選を目指すことになる。多選批判も想定されるが、田上氏は「時代やまちによって状況は異なる。一概に長い、短いとは言えない」とかわす。
 一方、高比良氏は2月にいち早く出馬表明し、4月からミニ集会を活発化。地盤の市南部にある後援会事務所も市中心部へ移して5月から本格稼働させる。
 田上市政では市議会に提出した議案の否決・修正が相次いでいる。20日には市議会の正副議長が、議会に対する市の報告漏れなどを受け再発防止を申し入れた。高比良氏は「組織に緊張感がなく、ガバナンスも利いていない」と批判し、刷新の必要性を訴える。
 橋本氏は出馬への明言は避けつつ、市の課題に人口流出を挙げ「若者が地元に残りたいと思える仕事を増やし、創出することが必要」と指摘。田上氏が市公会堂解体などを巡り住民投票を求める市民の請求を何度も受けたが、いずれも反対したことにも「請求に至るまで市民を放置した姿勢に問題がある」と指摘する。
 5月の大型連休明けから同じ会派の市議1人と共に市政報告会を始めるなど動きを活発化させる構えだ。
 ほかに元市議が出馬を模索。共産党は候補者擁立は「まだ白紙」としている。

姿を変えつつあるJR長崎駅周辺。右上のエリアに、市が整備を目指すMICE機能を備えた複合施設の用地がある=長崎市

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