金属行人

 電気自動車(EV)の普及など自動車分野の新しいトレンドをにらみ、自動車・同関連産業の競争力強化策を官民で話し合う経済産業省の「自動車新時代戦略会議」が先週、初会合を開いた▼クルマの未来はどうなるのか。電動化にとどまらず、自動運転社会の到来、車の利用スタイルの変化など大変革が訪れるのは必至で、素材を提供する鉄鋼・非鉄金属産業にとっても関心の高いテーマだ▼主力需要分野の一つに自動車産業を抱える特殊鋼業界では電動化による特殊鋼の消費減が気掛かり材料。部品によっては増えるケースもあるが、減少は避けられない。EVの特殊鋼使用量はガソリン車の5割強という調査結果もある▼戦略会議では、電動化が部品・素材メーカーに与える影響とその対応策についても検討する予定だ。需要構造の大変革が迫る中、素材メーカーも経営革新を迫られる可能性もある▼気になるのは電動化のスピードだ。政府のEV・PHVの普及目標は2030年で20~30%。ただ、電池技術の進展度合いなどが不透明で、明確な見通しはまだない。自動車産業の国際競争力は素材メーカーによって支えられている面もある。競争力強化策を検討する際、素材への目配りも欠かせない。

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