新人研修で空き家を再生 不動産事業のFan‘s

研修現場になったのは築59年の木造2階建て住宅

 不動産事業のFan’s(東京都渋谷区)は今年度入社の新卒新入社員を対象とした研修に、同社の空き家再生事業「再生家」の現場作業を組み入れた。同社が仕入れた空き家で、リフォーム職人が入る前に行う下準備に取り組んだ。

 「再生家」は、同社が空き家を買い取り、リフォームを行ったうえで賃貸に出し、入居者が入った状態で収益物件として販売する事業。利回りを重視した商品で、販売価格帯は500万~700万円が主。家賃を周辺相場並みに抑えるため、過度なリフォームは行わず、10~20年くらい住み続けられるようにすることを想定した改修を行う。立ち上げてから2年目の新規事業で、1年目で約40軒の空き家を再生し、販売した。2年目の今期は約2倍の目標を立てている。

 4月13日に行われた今回の新人研修には、新入社員14人が参加。自社の事業を実地に体験するだけでなく、空き家問題という住宅・不動産業界にとっての社会的な課題に対する意識喚起の意味もある。昨年、同様の研修を中途入社向けの研修として実施した際、参加者から好評だったため、新人研修に組み入れた。

 研修では、各専門工事業者が作業しやすいように、不用品・瓦礫の整理・搬出やペンキ塗りなどを行った。対象となった空き家は、空き家化が進む横須賀市内の築50年超の木造2階建て住宅。急な階段を上がる高台にある住宅で、かなり老朽化が進んでいた。

 当日は作業着姿で不用品などを整理したり、外壁の塗装を除去したりと、普段やりなれていない仕事に戸惑いながら取り組んだ。新入社員は営業に配属される予定。

既存の塗装を除去し、新たにペンキを塗り直しも

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