加速力はF1以上! フォルクスワーゲン、フルEVマシン『I.D. Rパイクスピーク』初公開

 4月22日、フォルクスワーゲンは6月24日にアメリカ・コロラド州で開催される第96回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(PPIHC)に投入するフル電動マシン『I.D. Rパイクスピーク』を世界初公開した。

 海抜2862メートルのスタート地点から19.9kmの道のりを経て4302メートルの山頂まで一気に駆け上がることから“雲へ向かうレース(レース・トゥ・ザ・クラウド)”の愛称で親しまれているPPIHC。

 この伝統的イベントに新開発のオール・エレクトリックマシンでの参戦を発表していたフォルクスワーゲンは、これまでにティザーイメージ、マシンCGなどを公開してきたが、本戦の約2カ月前となった22日、満を持して『I.D. Rパイクスピーク』の実車をワールドプレミアした。

 2016年大会でリース・ミレンの駆る『eO PP100』がマークしたEVのレコードタイム、8分57秒118を破ることを目標に開発された新型プロトタイプマシンは、1985~1987年の3大会に投入された“ツインエンジン・ゴルフ”と同様のソリューションの下、2基のモーターを搭載。

 ツインモーターによる最高出力は680馬力、最大トルクは479lb-ft(479N・m)に達し、0-60マイル(0-約100km/h)加速ではF1、フォーミュラEマシンを凌ぐ2.25秒をマークするという。

 また、蓄電池にはリチウムイオンバッテリーが用いられていること、車両重量は2500ポンド(約1130kg)未満であることがあわせてアナウンスされた。

「フォルクスワーゲンの目標は、“スマートE-テクノロジー”のシンボルであるI.D.ファミリーの一台によってエレクトロモビリティの頂点に到達することだ」と語るのは開発責任者のフランク・ウェルシュ博士。

「電動パワートレインに厳しい負荷のかかるPPIHCは、開発面でとても適しているといえる。このプロジェクトによって生まれたテクノロジーが市販EV開発に恩恵をもたらすと同時に、将来のI.D.ファミリーの開発の原動力になることを期待しているんだ」

 ポルシェ・ワークスドライバーとしてル・マン24時間レースを制し、PPIHCでは2016、2017年大会で総合優勝を飾っているロマン・デュマにマシンを託すフォルクスワーゲン。合計156のコーナーを抜けた先のフィニッシュラインに到達したとき、目標とする8分57秒118というEVレコードタイムを破れるのか、6月24日(日)のレースに注目が集まる。

パイクス自身3連覇を狙うロマン・デュマが駆るフォルクスワーゲンI.D Rパイクスピーク
リチウムイオンバッテリーがコクピット内に収まる
フォルクスワーゲンI.D Rパイクスピーク
巨大なチンスポイラー、リヤウイングを備えるほか、グラウンドエフェクトを得るサイドスカートも確認できる。

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