大岡川周辺 大雨の浸水想定区域拡大 県が新基準で見直し 横浜市南区

最大規模の洪水で浸水の可能性があるとされた区役所付近

 神奈川県は3月末、大岡川で1000年に1度程度の大洪水があった場合の浸水想定区域を公表した。従来の基準では、浸水がないとされた南区役所付近でも0・6m、区内最大となる日枝町5丁目は1・8mの浸水が想定されており、市や区は区民への周知策などを検討する。

 国と県は、水防法に基づき、大雨などで河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域と水深を地図の形で公表している。

千年に1度

 2007年に公表された以前の想定は、河川整備の目標の降雨量が前提となっていた。そのため、大岡川流域は「100年に1度」発生の可能性がある「1時間の最大降雨量が93mm」を前提に想定された。県は15年の水防法改定を受け、「想定し得る最大規模の降雨」を前提に各河川の浸水想定を見直している。

 今回公表された想定では、「24時間の総雨量が332mm」が前提となっている。県の県土整備局は「過去の状況などを踏まえて算出した」と説明。24時間に332mmの洪水は確率的に「1000年に1度程度」だという。

区役所付近も

 想定では、大岡川とそれにつながる中村川、堀川、堀割川周辺の浸水区域が示された。桜木町駅付近から弘明寺駅付近までの広範囲にわたって浸水するとされた。想定図は「0・5m未満」「05〜3・0m未満」に色分けされ、吉田新田の干拓地内に「0・5〜3・0m未満」が目立つ。県によると、南区内で最も浸水被害が大きいのが川に面している日枝町5丁目付近で、1・8mを想定。以前の想定では浸水がないとされた阪東橋駅付近にも被害がおよぶとされた。これまで「0m」だった南区役所付近=浦舟町2丁目=は「0・6m」となっている。

周知方法を検討

 同局は「想定し得る最大の被害として、目安にしてほしい」と話す。南区は08年に「洪水ハザードマップ」を作成し、被害想定区域や避難所を示している。県が新たな浸水想定を公表したことを受け、市や区は対象地域住民らへの周知方法など、対策を検討する。

 市は16年に鶴見川水系の想定が見直されたのを受け、17年にハザードマップを刷新し、鶴見区や神奈川区など、6区の対象地域に約27万部を配布している。

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