60回の節目 波佐見陶器まつり29日開幕 ゲート一新、記念誌発行も

 長崎県内外の焼き物ファンでにぎわう波佐見陶器まつりは、ゴールデンウイーク(GW)の29日~5月5日、東彼波佐見町井石郷のやきもの公園一帯で開かれる。今年は60回の節目。公園ゲートのリニューアルや記念誌の発行などで盛り上げる。
 1959(昭和34)年、当時皇太子だった天皇陛下の成婚記念として町や商工会が始めた「波佐見焼陶器市」がルーツ。江戸時代は「伊万里焼」、近代以降は「有田焼」として流通することの多かった「波佐見焼」の知名度を上げる目的もあった。当初は4月初めに開かれ、町中心部の西の原街道に沿って窯元や商社が出店していた。近くで家具店を営み、商工会のメンバーとして携わった福井善幸さん(84)は「交通整理やのぼりの設置など忙しかったが、商店街全体に活気があった」と振り返る。
 81(昭和56)年にやきもの公園の一部が完成し、店舗を集約した現在のスタイルに移行。90(平成2)年にGW開催になると、同時期に西九州道波佐見有田インターチェンジができた影響もあり、来場者数は急増した。以降も順調に増え、昨年は過去最多の約32万2千人が来場。波佐見焼振興会の平野英延事務局長は「波佐見焼ブランドはかなり広まったが、まだ伸びる。全国のみならず世界に知れ渡ってほしい」とさらなる飛躍を期待する。
 今年は約150の窯元や商社が出店。60回を記念し、2月に東京ドームで開かれた「テーブルウェア・フェスティバル」に出展した器の「里帰り展」や町内の陶芸家約30人の新作展もある。
 会場となる公園ゲートのデザインも一新。両側に波佐見焼の器のかけらをタイル状に貼り付け、陶磁器デザイナー、故森正洋氏が手掛けた公園全体のイメージに合うようお色直しをした。記念誌は、波佐見焼のブランド化に携わる県立大副学長、古河幹夫氏が監修し、タイトルは「波佐見は湯布院を超えるか」(長崎文献社)。波佐見のまちづくりについてさまざまな視点から考察する内容で公園内の「陶芸の館」で販売する。

昭和30年代の「波佐見焼陶器市」の様子。当初は「西の原街道」沿道に窯元や商社が出店するスタイルだった(波佐見焼振興会提供)
波佐見陶器まつり60年を記念してリニューアルしたやきもの公園のゲート=波佐見町井石郷

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