道場破りでプロサッカー選手に!?

以前Golacoに寄稿いただいた、日高裕貴選手に近況を語っていただきました。

クラウドファンディングで資金調達!?

給料未払いや、タイ新南部での爆破テロ、そして野良犬に追いかけられる日々で、波乱万丈のタイでのシーズンを終えたわけですが、次なる国への資金不足にありました。

そこで最近J2の水戸ホーリーホックへ入団した40歳のJリーガーである、安彦選手が実施した事もある、資金調達方法である、クラウドファンディングでトライアウト資金を調達しようと考えました。そもそも、クラウドファンディングというのはインターネットなどのソーシャルメディアを介して不特定多数の人から資金を集める方法です。

クラウドファンディングを実施したことによりインターネットを通じて「応援するよ!俺の分まで頑張ってくれ」と励まして頂けるような、ポジティブなコメントもあれば、「自分の貯めたお金でだけで挑戦しろ!甘えんな!」という厳しい意見もありました。

最終日に、新聞やラジオ、雑誌等にも取り上げて頂き、目標としていた25万円という金額を無事に達成する事が出来き、結果的に有意義なチャレンジとなり多くの人に支援、応援して頂きました。

アポなしでオーナーに直接直訴!?

クラウドファンディングを達成し、今回のモンゴルへの挑戦資金が集まった訳ですが、今回は代理人やコーディネーターに頼らず自分の力で宿探しから契約交渉までおこなう事を一つのテーマとしてモンゴルへとやって来ました。

まず日本に滞在している時に、Facebookを通じてモンゴル1部リーグの全てのクラブへ履歴書とプレービデオを添付し最低限の情報だけを得たわけですが実際に練習参加の具体的な日時の返答を得ることが出来ませんでした。

モンゴルでプロを目指すなら、モンゴルに居ることが必要だと考え、何の当てもなかったのですが片道の航空券だけを購入し首都であるウランバートルへ到着しました。

そしてゲストハウスに滞在しながら現地にて情報収集を重ねて、FCセレンゲプレスという1部のチームのオーナーの会社の住所を突き止めることが出来ました。

そして翌日に、僕はアポなしで直接会社に乗り込みました。 しかし見たこともない銀髪の日本人が会社に入ろうとしたので、門に居た警備員につまみ出されそうになりました(笑)

身振り手振りで何とか説明し、会社に入り英語が話せる受付のおばちゃんに

「俺は、この国の一部リーグでプレーしたいんだ。テストして俺のプレーを見てくれないか?」と英語で交渉するとオーナーに会わせてもらう事ができ、翌日からチーム練習への参加が認められました。

そして翌日、モンゴルサッカー協会の横にあるMFFというスタジアムで入団テストは行われることになりました。

代表戦やモンゴルリーグが開催されるMFFスタジアム

スタジアムに行くと選手がロッカールームに集まっており、監督から「日本人がテストにやって来たぞ」と軽く紹介された後に、5分程度のランニングを行い、すぐに紅白戦が始まりました。

その時の気温は、マイナス25度という体験した事のない寒さでボールを蹴るたびにコンクリートでも蹴っているかのような感覚でしたが、紅白戦でのシュートストップやコーチングが評価され、テストには無事に合格。

1週間後に正式なオファーを頂き、給料+勝利給+食事+家+VISAといった待遇で、再びプロサッカー選手と生きていく環境を与えて頂くことになりました。

現在チームには、アメリカ人選手が2名と日本人選手が3名の計5名が外国人選手としてプレーしている訳ですが、リーグ戦に出場出来る選手は3名のみ。これから熾烈な外人枠争いが待っている訳ですが他の外人選手に負けないように日々の練習から切磋琢磨して、お互い成長出来る関係性を築いていきたいと思っています。

発展するアジアサッカー界で生きるには!?

今シーズンタイから多くのタイ人選手がJリーグに移籍するなど、近年アジアのサッカーは非常に発展して来ています。

では、モンゴルリーグはどうでしょうか??

FIFAランキングだけで見ると188位と決して高くはありませんし、プロリーグとしての歴史も非常に浅く、ローカル選手もサッカーだけで生活している選手はまだまだ少ないですが、外国人選手に求められる質は高く、今シーズン、ロシア1部でプレー経験のある選手、元トリニダード・トバゴ代表の選手、日本人選手に至っては、JFLやラオスリーグ、タイリーグ、シンガポール等のリーグでプロとしてプレーしていた選手が今シーズン移籍してきた事によりリーグレベル全体の底上げ、そして毎試合TV中継を実施するなど着実にモンゴルサッカーはレベルアップして来ているようです。

日本では結果に対する過程も評価されますが、海外では過程は評価されず、あくまで「結果」しか求められません。

ストライカーなら点を取りチームを勝利に導かなければなりませんし、ゴールキーパーであれば無失点に抑えなければなりません。そうしなければチームの責任は、外国人選手に押し付けられ無情にも「クビ」という現実が待っているのです。

海外でプロになりたいならまず海外に行け!!

今シーズン海外のトップリーグでプロとしてプレーしている日本人GKは川島永嗣選手を含めても10人に満たないでしょう。それ程までに日本人GKが海外でプレーする事は容易な事ではなく、外国人枠の兼ね合いや、その国の文化の違いやGKに対する価値観の違いが大きく左右されます。

僕自身シンガポール、タイ、モンゴルとまだ三ヶ国のリーグしか経験していませんし、常に試合に出場していた訳ではないのでアジアサッカーの多くを語ることは出来ませんが、もし僕のように海外でプロサッカー選手を目指す選手が居れば「まず海外に行ってみろ」と伝えたいです。

日本では、年齢を重ねる度に、夢を見ることを否定され、現実と向き合う事が正しいと言われる機会が多くなってくると思いますが、最後まで夢を諦めず自分を信じ続けられる者だけが、チャンスを掴むと僕は信じ、「努力は必ず報われる」と自分の人生を通じて証明していけるように、これからもオンリーワンの人生を歩んでいきたいと思います。

モンゴルを一望できる有名スポットにて

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