金属行人(4月24日付)

 7回にわたって連載した新入社員のための鉄鋼基礎講座について、多くの感想や意見が寄せられた。取材先で話題になることも多かった。その中で「知っている者が勝つという言葉が載っていたが、今は知っているだけでは他者との差別化にならない時代だ。調べるだけならスマホで即座にできる」との指摘を受けた▼まさに、その通りだと思う。自分がその言葉を上司から教えられたのは25年前。環境は大きく変わった。「今の若い人は調べることは得意。ネットには正確ではない情報もまざっているが、その早さには驚く」との声をよく聞く。知っていることは大前提。その知識を使ってどう考えるか。どう知恵を生み出すか。それが重要だし、同じ知識でも「自分だけが知っている一次情報、生きた情報」をいかに持っているかがますます重要▼弊社が東鉄連との共催で開催した新人・中堅社員向け講座には、ここ最近では最も多い170人超が参加した。人手不足の折、売り手市場の中で鉄鋼業界に飛び込んでくる新たな人材を温かく迎え入れ、業界として育てていくような懐の広さを堅持したい▼鉄鋼業や非鉄金属業は製造業に分類されるが、質の高い〝ものづくり〟をするには人づくりが何より肝心だ。

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