観光振興にビッグデータ活用 長崎大とソフトバンクなど スマホから周遊情報、ネットで公開へ

 長崎大とソフトバンクなどは25日から、県内を訪れる観光客らの周遊状況などの情報を集めて分析し、自治体の観光政策などに生かす社会実験を始める。同大が携帯電話会社と組んで、ビッグデータを観光振興に生かす試みは初めて。
 同大ICT基盤センターや同社のほか、インターネット広告会社シナラシステムズジャパン(東京)も実験に参加。期間は来年3月末までの予定だが、同大は来年度も継続する意向だ。
 実験では、ソフトバンクが県内観光地など30カ所に新たに設置する予定の設備や、既存の約3千カ所の設備を使い、同社のスマートフォンで公衆無線LAN「Wi-Fi」を利用した観光客などについて、年代や性別、移動、滞在の状況を記録する。このほか、少なくとも県内の自治体や観光協会など15のホームページに、閲覧記録を自動的に収集できる仕組みを設けるという。実験は、データ活用に同意した観光客らが対象で、個人を特定できない処理をする。
 同大は匿名化された統計情報を受け取り、分析した上でインターネットで公開する。通常の調査では、集計を終えるまで数カ月程度かかるが、今回の手法では、早ければ翌日には周遊状況などを把握できる。観光イベントを開く際の集客予測や経済効果の検証などもより早く、正確に分かるという。ビッグデータは県内自治体の観光政策やイベント企画の改善などにつなげてもらう。
 同大で23日、記者会見した小林透・ICT基盤センター長は「ビッグデータの観光利用を先取りすることで、本県の主要産業である観光業を盛り上げたい」と意気込みを語った。

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