「歩く観光の楽しさ知って」 市民団体が散策マップ製作 鎌倉市

地図を持つ(左から)花俣和男さん、市川副代表、瀧下代表、米村洋一さん、牛来悠二さん

 鎌倉市内在住の有志からなる市民団体がこのほど、手作りの観光ガイド「ぶらり鎌倉マップ」を完成させた。「長谷・由比ガ浜」「二階堂・浄明寺」という市内屈指の人気エリアにスポットを当て、カフェやコンビニ、トイレなどのほか、現在は使われなくなった地名なども記載。4月28日(土)から市内で配架する予定だ。

 「ぶらり鎌倉マップ」を製作したのは、市民団体「鎌倉・文化の森」(瀧下嘉弘代表)。文化活動などを通じた地域の交流促進を目指して2014年に設立され、現在8人が所属する。これまでに旧鎌倉図書館や御成小学校旧講堂の保全を目的にしたチャリティー演奏会開催のほか、常盤山の散策ルートの調査なども実施してきた。

 同団体は15年、従来より詳細で分かりやすい観光マップ作製のために市が公募した事業を受託した。副代表で一級建築士の市川和夫さんが中心となり、電車やバスの利用ではなく「歩いて観光する楽しさ」を発信する地図にしたいと、「長谷・由比ガ浜」を対象にメンバーが実際に地域を歩いて調査。カフェやコンビニ、公衆トイレの位置などを詳細に記載したほか、等高線を参考に谷戸の起伏も表現した。

 A3判のカラー刷りで1万部を発行し、昨年5月の連休に鎌倉駅前などで配布したところ、好評を得たという。

 市川さんは「鎌倉駅を起点に『長谷寺まで26分、大仏まで27分』など30分ほど歩けば人気スポットを見て回れることが分かるよう工夫した。歩いて行けることが分かると、多くの人が電車やバスに乗るよりも、徒歩に切り替えて観光するようになった」と、交通機関の混雑緩和にも一定の効果がみられたという。

さらに情報充実

 今回製作した「長谷・由比ガ浜版」は、この時でき上がった地図の改訂版。新たに谷戸の名称や、現在は使用されていない旧地名も加えるなど情報を充実させ、2万8千部を完成させた。

 さらに報国寺などの人気スポットがある「二階堂・浄明寺版」(5千部)も製作。こちらも鎌倉駅から徒歩での時間を記載している。

 市によると、新たなマップは4月28日から鎌倉駅前の観光案内所に配架。5月3日(木)から5日(土)には駅前などで直接配布するという。同団体の会員は「旧地名の調査などは、我々にとっても良い勉強になった。地域の歴史に興味を持つきっかけになれば嬉しい」と笑顔で語った。

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