スマートデイズの破綻、関係先の資金繰りに影響

 4月18日、シェアハウス「かぼちゃの馬車」運営の(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672)の民事再生手続きが棄却された。今後は破産手続きに移行するが、一部では民事再生の申請自体に疑問の声が上がっていた。

 スマートデイズが破産へ向かう中、関係業者への注目が日増しに高まっている。
 4月14日に都内で会見したスマートデイズの赤間健太代表は、スマートデイズ破綻で「資金繰りに不安を抱える建築会社がある」と語り、すでに影響を受けている関係先があることを認めた。
 東京商工リサーチ(TSR)の周辺取材で、シェアハウスの建築を請け負っていたA社の存在が浮かび上がった。A社は「かぼちゃの馬車」など、複数のシェアハウスの施工契約をオーナーと締結していたが、スマートデイズの行き詰まりが表面化後は、オーナーから建築代金の回収が困難になっている。このため、A社は取引先への3月分の支払いが一部不履行となり、4月上旬に弁護士立ち合いで取引先への報告会を開催した。この件についてTSRはA社に取材を申し入れたが、報告会開催の事実は認めたものの、「現在、弁護士と協議中で一切の情報開示ができない」として回答を避けた。

A社「法的整理は絶対に行わない」

 報告会の出席者によると、A社は「(報告会時点で)スマートデイズ案件の受注残が9棟で総額3億9,259万円ある。支払いを拒否しているオーナーと交渉し、これまでに約3分の1を回収した。残りは今後、仮差押などを講じ資金回収を進めていく。今後の取引先への支払いは回収度合いによるため明言はできない」と述べたという。
 その上で、「回収できた金額を順次支払っていく」と説明し、「銀行借入も手形振出もないため、破産や民事再生など法的整理は絶対に行わず、必ず支払う」と表明したという。
 TSRの調査では、A社が1年ほど前まで数千万円の外部資金を導入していることが確認されている。すでに返済されている可能性もあるが、A社が取材拒否のため真相は不明だ。

不動産業のB社が連絡難

 スマートデイズとは別の不動産サブリース業のB社も、取引先に債務不履行が生じている。B社の取引先は、B社から入金が得られず、すでに決算上の損失処理を実施したという。また、別の取引先は「(B社から)建築を請け負っていたが、数千万円の債権が回収できていない」と話す。
 4月下旬、B社の本社を訪問したが、入口の扉は固く閉ざされていた。B社のホームページに記載されている代表番号に電話しても、「本日は休業しております」との自動ガイダンスが流れるだけで反応はない。

 このほか、TSRではスマートデイズと取引のあった企業やシェアハウス運営業者は十数社を把握している。徐々に各社の問い合わせが寄せられており、余波は広がりつつある。スマートデイズの破綻は、金融機関を巻き込んでパンドラの箱を開けたのかも知れない。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年5月1日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)

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