トロロッソ・ホンダF1のガスリー、僚友とのニアミスに恐怖と怒り「大事故を避けられないと思った」。ハートレーは謝罪

 トロロッソ・ホンダF1チームのピエール・ガスリーは、F1アゼルバイジャンGP予選で起きたチームメイトであるブレンドン・ハートレーとのニアミスは、キャリアで最も恐ろしい経験だったと語った。ハートレーは自分に非があるとして謝罪している。

 Q1の終盤、タイヤのパンクにより低速走行をしていたハートレーに後ろを走るガスリーが急速に追いついてきた。ハートレーの状況を知らずにアタック中だったガスリーはスロー走行のハートレーに驚き、ぎりぎりのところで追突を回避した。この影響でガスリーはタイム更新のチャンスを失い、17番手にとどまり、Q1で敗退した。

 アクシデント直後にはガスリーは興奮し、無線で「あいつは一体何をしているんだ? あんなことは許されない。信じられないよ」と叫んだ。その後、気持ちが多少落ち着いてから、ガスリーは次のように語っている。

「ぞっとしたよ。キャリアのなかでこれほど怖い思いをしたのは初めてだと思う」

「ブレンドンへのクラッシュは避けられないと思った。あそこは320km/hが出る場所だからね。自分が宙に舞っている姿が思い浮かんだ。自分がどうやって避けたのか、分からない。ただただ怖かった」

 ガスリーはハートレーがタイヤがパンクした状態で走行していることを知らされていなかったため、スロー走行しているのが見えて驚いたという。

「ブレンドンに何が起きていたのか知らないけれど、彼はかなりペースを落として走っていた」
「わざとやっていたわけではないのは分かっている。でも彼はライン上を走っていた。右に寄ろうとしているのか左に寄ろうとしているのか、分からなかった」

 ガスリーはこういった事故を避けるため、チームが対策を講じる必要があると考えている。

「意図したことではなかったと分かっているけれど、次は2台の間隔をもっとあけるべきだと思う。こんなことが起きるなんて誰も考えていなかったはずだ。でも接触事故は(中国決勝に続き)これで2回目だ。こういう事態を避けるため、対策をとる必要がある」

 ハートレーは、すぐ後ろにガスリーがいることに気付かなかったといい、ライン上で低速走行をしていた自分に責任があったとして、ガスリーに謝罪している。
「僕は大きなミスをした。彼に申し訳なく思っている」とハートレー。

「進路を妨げ、大事故を引き起こすところだった。彼に心から謝罪する。こういうことになってがっかりしている。いい一日ではなかった」

「イン側のウォールに軽く接触した。最初はダメージはなかったと思い、プッシュしていたが、高速の左コーナーで、タイヤがパンクしていることに気付いた。それでウォールにヒットするのを避けるため、すぐさまスローダウンしなければならなかった」

「でもピエールがすぐ後ろにいることは知らなかった。スピードを大幅に落とし、問題がどれぐらいひどいのか探ろうとしていた。あれは完全に失敗だった」

「ここはウォールがあって他のマシンが近づいてくるのが見えない。ミラーを見て、左に動いたら、彼も同じ方向に動いた」

「あっという間の出来事だった。(ライン上から)外れるということをもっと意識すべきだった。僕に責任がある」

 ハートレーはQ1最速タイムから107パーセント以内のタイムを出せないまま予選を終えたが、スチュワードからレース出場の許可を得られたため、19番グリッドからスタートする予定だ。 
 
 スチュワードはガスリーとハートレーのインシデントに注目したものの、調査の必要なしとの判断を下したと発表している。

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