<レスリング>男子グレコローマンW杯は年末にイランで開催へ…「政治の介入と闘う」とUWWネナド・ラロビッチ会長

政治の介入との闘いを宣言したUWWネナド・ラロビッチ会長

 イランのメディアによると、世界レスリング連盟(UWW)は4月26日、今年の年末にイランで男子グレコローマンのワールドカップを開催することを認めた。

 イランはUWWから、今春にイランの南西にあるアフバスで予定していた同大会を秋に実施するよう要請されたが、スケジュールの過密を理由にこれを拒否した。UWWは、イスラエル選手との対戦を拒否するイラン政府の政策に対するペナルティーの意味もあり、4月のイラン開催を認めなかったという。

 イランはUWWからの一方的な通告を拒否。男子フリースタイルのワールドカップ(4月7~8日、米国)への出場を辞退することで抗議の意思を示した(注=辞退の公式な理由は明らかにされなかった)。

 このほど、UWWのネナド・ラロビッチ会長とイランのラスール・ハデム会長(注=イスラエルがらみの騒動の責任をとって会長職を辞任したが、その後復帰したもよう)が話し合い、ワールドカップを10月の世界選手権(ハンガリー)のあと、年内にイランで実施することで合意したという。

 ラロビッチ会長は「政治がスポーツに介入してくる危機に面している国は多い」とコメント。イランのイスラエル問題のほか、今月30日からロシアで行われる欧州選手権に政治上の対立のためウクライナの参加が疑問視されていることなどを指しているものと思われるが、「レスリングに関しては、政治が介入してくることを許すことはできない。私たちが持っているすべての手段で、この問題と闘わなければならない」と、政治不介入の姿勢を示した。

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