『Sportskeeda』は29日、「アーセナルの次期監督候補5名、その長所と短所」という記事を掲載した。
今季限りでアーセン・ヴェンゲル氏が退任することになり、22年に及んだ政権がついに終わりを迎えるアーセナル。
この夏には新たな監督が招聘されることになるが、まだクラブは候補を検討している最中であるという。
現在有力だと言われている5名の候補、そしてその長所と短所とは?
カルロ・アンチェロッティ
長所:
まず、彼はそのキャリアで『勝者』であることが証明されている。
グアルディオラ、モウリーニョとともに、アンチェロッティはこの世代で最も成功した監督である。
イタリア、イングランド、フランス、スペイン、ドイツでトロフィーを獲得することができる指揮官は何人いるか?
アンチェロッティは選手としても監督としても大きな成功を収めた、サッカー界では珍しい人物の一人である。
ミランの監督として3回のチャンピオンズリーグ決勝を戦い、チェルシー、PSG、バイエルンでリーグ優勝を果たした。
彼は今プレミアリーグでの仕事を狙っているし、ロンドンに居住している。その実績と攻撃的なスタイルは、アーセナルの選手やファンともフィットするだろう。
短所:
今アーセナルがどういう状況下を考えれば、混乱から抜け出させる監督としては正しい選択ではないかもしれない。
なぜかといえば、アンチェロッティは常にスーパースターに満ちた、しかもバランスが取れたチームを率いてきたからだ。
アーセナルはおそらくワールドクラスの選手は1人しかいない。アンチェロッティが彼らを復活させるために必要なものを持っているかどうかは問題だ。
ヨアヒム・レーフ
長所:
ドイツ代表は彼の下で多くの結果を残してきた。スペインの黄金期とぶつからなければ、レーフはもっと多くのタイトルを獲得できたはずだ。
ユルゲン・クリンスマンが退任したあとヘッドコーチとなったレーフは、それからドイツ代表を常に世界トップ3のチームにとどまらせている。
もちろん、EURO2000での失望によって生み出されたドイツの強力な育成組織に助けられている部分はあるとはいえだ。
彼はチームとともに学習し、進化し、リオ・デ・ジャネイロで王者になった。結果を出すドイツが、無慈悲な攻撃でブラジルを破壊した。
アーセナルは、クリンスマンとレーフが達成したような復活を必要としている。
短所:
問題となるのは、レーフがクラブチームでのサッカーで何も達成していないということだ。
ドイツやオーストリアの小さなクラブでの実績は、アーセナルのようなチームを引き継ぐために必要なものを備えている証明にはならない。
マンチェスター・ユナイテッドでは、天才デイヴィッド・モイーズでも悲惨な失敗を経験することになった。レーフはまだクラブレベルでは未知数だ。
ディエゴ・シメオネ
長所:
「チョロ」は、今やクラブレベルのサッカーで最も人気がある監督だ。夢を見ることを恐れず、レアル・マドリーとバルセロナの牙城を崩した男である。
3年で2回のチャンピオンズリーグ決勝にアトレティコを導いた男は、単純にセルヒオ・ラモスのヘディングにやられてしまっただけだ。予算で劣るなか、最大限の結果を出してきた。
頑張り、頑張り、頑張り続けるという選手としてのスタイルは、監督としても引き継がれているものだ。彼の成功の基礎は、しっかりした守備のユニットからだ。
より強い守備をもたらすことができる監督は、アーセナルになにか良いものを生み出してくれるはずだ。
彼を雇うことによるポジティブな点は、アトレティコは常にスターを引き抜かれてきたクラブだということだ。シメオネはそれに対応する方法を知っている。
短所:
シメオネをアトレティコで成功に導いた守備的なアプローチは、エミレーツ・スタジアムではやや問題になるかもしれない。
ヴェンゲルは攻撃的なサッカーでファンをひきつけてきたし、選手たちは来季も大半は同じになるからだ。
試合のダイナミズムを大きく変えることは、彼らにとっては非常に難しいだろう。モウリーニョのユナイテッドは、それにまだ苦しんでいる。
マッシミリアーノ・アッレグリ
長所:
現在のイタリア王者の監督は、ヨーロッパのより大きなクラブから関心を持たれている存在だ。セリエAを4度制覇し、今季もスクデットに近づいている。
ミランを解任されたあとの2014年夏。アントニオ・コンテ監督の辞任を受けて、突然ユヴェントスに招聘された。
当初はファンからも疑問視されたものの、結局ユヴェントスのフロントの目が正しいことは完全に証明された。戦術的知性と多才さで賞賛されている。
コンテの戦術をより効果的に構築し直し、チャンピオンズリーグでも戦えるチームに変貌させた。
ショートパスを重視しており、そこはアーセナルのファンにも受け入れられる特徴だ。戦術的な柔軟性、試合途中でも要求するシステム変更も賞賛に値する。
ヴェンゲルの頑固な攻撃意識とは正反対だ。バランスを重視し、攻撃と守備とを同等に考えている。
短所:
ミランを退団したときの状況が常に懸念される。その際の順位は11位だった。また、選手の大幅な入れ替えも考えなければならないだろう。
さらにアッレグリはイタリアの外で仕事をしたことがない。プレミアリーグではラニエリ、コンテとイタリア人が連覇してきたとはいえだ。
トーマス・トゥヘル
長所:
トーマス・トゥヘルはアーセン・ヴェンゲルを引き継ぐ候補としてはフロントランナーである。
ドルトムントの前には、昇格したばかりのマインツで、制限された予算のもとで戦った。その中で攻撃的なサッカーをし、9位にまで上り詰めた。
さらに次のシーズンでは5位に入り、ヨーロッパ行きの資格も獲得した。しかし、その予算では欧州と同時に戦っていくことは不可能だった。
ドルトムントではユルゲン・クロップ監督の失敗を受けて、そのあとを任された。ブンデスリーガ2位に入り、バイエルンに次ぐ結果を残している。
どちらのクラブでも、トゥヘルは若い才能をチームにもたらしてきた。それはエミレーツ・スタジアムでも求められるものだ。
短所:
メディアの報道によれば、彼はパリ・サンジェルマンとの契約に近づいているという。ただ、彼がこれまで達成したものを考えれば、まだビッグクラブに誘われるほどでもない。
エディ・ハウもそうだが、ビッグクラブを引き継ぐまでに学ぶことはたくさんある。アーセナルはユナイテッドの失敗を繰り返すべきではない。
アレックス・ファーガソンが離れたあと、モイーズは苦しみ、モウリーニョもその「遺産」に苛まれている。
果たして、経験が浅い指導者を任命することがいい判断になるのかどうか?