『ラプラスの魔女』 予知能力vs予知能力、完全犯罪への攻防

(C)2018 「ラプラスの魔女」製作委員会

 19世紀のフランスの数学者ピエール=シモン・ラプラスが提唱した「計算によって未来を予見する知性」をモチーフにした東野圭吾のベストセラー小説が原作。いわゆる“予知能力”を使って完全犯罪をもくろむ青年と、それを阻止しようとする同じ能力を持つ少女、彼女によって事件に巻き込まれた狂言回し的な主人公が織り成す異色の科学ミステリーだ。

 監督は、永遠の鬼才・三池崇史。相変わらず多作なのに、今回もクオリティーは落ちていない。それは、映画には何が必要かを熟知しているからだろう。ミステリーという映画とは実は相性がよくないジャンルを扱いながら、画面の運動性に対する意識が高いから随所にアクション・シーンを盛り込んでいるのだが、今回も切れ味は鋭く、よくアイデアが尽きないものだと感心させられる。もちろん、往々にして映画を停滞させる謎解きシーンへの配慮も抜かりない。一方で、原作の中の最も映画的な要素である天候(竜巻、雪、雨、気流など)をしっかりと映画の魅力に活用しているのもさすが(アクションと叙情性の両方に)。

 もう一つ、キャスティングにも彼らしい才気(遊び心?)が。ネタバレになるので詳しくは書けないが、トヨエツが先か?福士蒼汰が先か?と思わず舞台裏に思いが及んでしまうのも、監督が三池崇史なればこそだ。★★★★☆(外山真也)

監督:三池崇史

原作:東野圭吾

出演:櫻井翔、広瀬すず、福士蒼汰、豊川悦司

5月4日(金)から全国公開

© 一般社団法人共同通信社