86/BRZ:第2戦SUGOは85台のエントリー集める。プロクラスはデビュー2戦目の堤優威が初優勝

 GAZOO Racing 86/BRZ Raceの第2戦がスポーツランドSUGOで開催され、プロフェッショナルシリーズでは堤優威(ADVICS CABANA 86)が初優勝を飾り、クラブマンシリーズでは松原怜史(GR-G神戸垂水86 BS)がひさびさの優勝を挙げている。

 ゴールデンウィークの始まりのSUGOには、パドックに86とBRZがひしめき合っていた。プロフェッショナルシリーズは30台、クラブマンシリーズには55台のエントリーがあり、これはSUGOラウンドでは最多。

 SUGOは1周が短く、かつコース幅が狭いこともあって、両シリーズとも予選では、まるでゴールデンウィークの渋滞のような光景が随所で見られた。

 そんななか、プロフェッショナルシリーズでポールポジションを獲得したのは堤だった。1分39秒098を記録し、2番手の平中克幸(GY RACING 86)にコンマ2秒の差をつけた堤は、カートレースやスーパーFJを経て、スーパー耐久やグローバルMX-5カップジャパンでロードスターの使い手として知られており、86/BRZ Raceでも2戦目にして早々と本領を発揮したことになる。

「ピットを出たら、すごくいい位置取りができて、落ち着いて1周走ってきたら、いいタイムが出ていたので良かったです。走りは特別すごかったいう感じではなかったので、『あれ?』みたいな(笑)。スリップストリームもうまく使えたのが良かったんでしょうね。スタートさえ決まれば、明日も行けそうな気がします。自信持って行きます!」と堤。

 3番手は近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC 86R)、4番手は谷口信輝(KTMS 86)、5番手は井口卓人(CG ROBOT 86 BS)、そして前回大会のウィナー織戸学(サミー☆k-one☆MAX 86)が6番手で続いた。

 決勝では堤が好スタートを見せるも、背後につける百戦錬磨のドライバーたちも負けてはおらず、トップ6は予選順位のまま連なり合って1コーナーに飛び込んでいく。しかし、そんな光景は1周だけだった。2周目に差し掛かると、トップの堤が後続との差を広げ始めたからである。

レース序盤、平中克幸(GY RACING 86)を先頭とする“レーシングスクール”状態に

 その後は、2番手を走る平中を先頭に“レーシングスクール”のような状態に。5台での2位争いが激しく、やがて井口が後退してしまうも、もっとも鋭かったのが近藤のチャージで6周目の馬の背コーナーで逆転を果たした。

 その近藤も単独走行に持ち込むまでには至らず、やはりバトルを重ねたものの、最終ラップのS字でスピンを喫し、無念のリタイアを喫してしまう。「原因はわからないんですが突然、エンジンが吹けなくなって、その上ABSまでトラブって……。リタイアだけはしたくなかったのに」と近藤。

 そんな後続の混乱をよそに、クルージングを楽しんでいたかのように見えた堤ながら、「13周が本当に長かったです。離せたとはいえ、余裕なんて全然なくて……。でも、これだけのドライバーを相手に勝てて、本当に嬉しいです」とポロリと本音を漏らしていた。

 2位は谷口で、3位は平中が獲得。そして4位には近藤のアクシデントに乗じて、3ポジションアップに成功した蒲生尚弥(tomicaネッツ兵庫86BS)がつけている。

プロフェッショナルシリーズ 表彰台

■S耐後に行われたクラブマン予選はグリップレベル向上?

 クラブマンシリーズでは1組のトップ、安藤正明(C名古屋86 Racing)が1分39秒677という驚異的なタイムで、2組トップで2016年のチャンピオン、松原怜史(GR-G兵庫垂水86 BS)の1分40秒474を抑えて初めてのポールポジションを獲得する。

「なんであんなタイムが出たのか分かりません(笑)。出ちゃった、って感じです。確かに落ち着いて走れたのはあったんですよ、いつもミスばっかりしていますから」と安藤。ただ、“出ちゃった”理由として、直前まで走っていたスーパー耐久のラバーが路面に乗り、早々にアタックしたドライバーがアドバンテージを得た一方、2組がアタックするころにはラバーが剥げていた可能性がありそうだ。

 予選2番手の松原は「コンディションが違ったから仕方ないけど、自分の仕事はできたし、勝ちは狙える位置ですからね」と決勝への展望を語った。

 決勝はスタート直前で、ちょっとしたハプニングが。フォーメーションラップを終えてグリッドに着こうとしたポール安藤が、停止枠をはみ出してしまったのだ。幸いオフィシャルの手によって戻されはしたが……。

松原怜史(GR-G神戸垂水86 BS

 これを見て、「いただいた!」と感じたという松原は、スタートで安藤に続いて1コーナーに飛び込むとピタリと背後から離れず。そのまま3コーナーで勝負に出るとオーバーテイクに成功し、トップにおどり出た。2番手に交代した安藤はさらに水谷大介(ネッツ東京86レーシング)の先行も許してしまう。

クラブマンシリーズ 表彰台

 そこからは松原と水谷の一騎討ちへトップ争いは転じ、必死にプレッシャーをかける水谷ではあったが、松原も一切隙を見せず。辛くも逃げ切り果たした松原は「ホームコースなんで、何としても勝ちたかった。(安藤が)思っていたより落ち着いていて、ワンチャンスをうまく活かせて抜けたって感じでした。水谷選手とのバトルもしびれました」とレースをふり返っている。

 3位は後続は寄せつけず、終盤は単独走行となっていた安藤が獲得。「結構いっぱいいっぱいでしたが、なんとか(3位を獲得できた)」とコメントしている。

 2018年の86/BRZ第3戦は5月27日、大分県のオートポリスで決勝が行われる。

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