〔霧島山(硫黄山)〕噴火警戒レベル2(火口周辺規制)へ引下げ 警戒範囲を縮小(5/1)

1日14:00、福岡管区気象台と鹿児島地方気象台は、宮崎・鹿児島県境の霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)について、4月19日の噴火によって引上げられていた噴火警戒レベルをレベル3(入山規制)からレベル2(火口周辺規制)へ引下げる「噴火警報」を発表しました。これによって噴石などへの警戒範囲が、硫黄山からおおむね2kmの範囲から1kmに縮小されました。
えびの高原の硫黄山では4月19日に硫黄山の南側で噴火が発生し、火口から200~300m程度まで大きな噴石が飛散しました。また翌20日には硫黄山西側500m付近で新たに噴煙が上がり、26日に一時的に火山灰が含まれる噴煙が上がる程度の噴火も発生しています。
その後硫黄山では噴火は発生していませんが、活発な噴気活動は現在も続いています。
火山性地震は4月20日以降おおむね少ない状態で経過し、火山性微動も4月25日以降観測されておらず、また地殻変動観測においても、硫黄山付近及びその西側にみられていた隆起がほぼ収まっています。
硫黄山の火口では、4月19日と同程度あるいはやや大きな噴火が発生して大きな噴石を飛散させるおそれがあり、硫黄山の西側約500m付近では、4月26日と同様な噴火により火山灰を噴出する可能性があります。気象台では引き続き硫黄山からおおむね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒するとともに、風下側では火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意するよう呼びかけています。

◆霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)の最近の火山活動の状況
<2013年>
・12月頃より火山性地震が時々発生。
<2014年>
・08/20 継続時間が約7分の火山性微動が発生。この周辺で火山性微動を観測したのは初めて。
<2016年>
・12/06 噴火警戒レベル導入運用開始。
・12/12 11:00過ぎから火山性地震が増加。11:40、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引上げ。
<2017年>
・01/13 14:00、噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)に引下げ。
・04/25 硫黄山周辺の一部の観測点で傾斜変動を観測。噴気の量も増加。
・05/08 東京大学地震研究所の現地調査により、硫黄山火口内で噴出物を確認。
・05/09 19:20、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引上げ。
・09/05 13:29、硫黄山付近を震源とする振幅の大きな火山性地震が発生し、えびの高原でわずかに身体に感じる揺れを観測。火山性地震も14:00までの1時間に50回観測される。
・09/08 噴気が稜線上300m以上に上がる。9月中旬以降は稜線上概ね100m以下に低下。
・10/31 14:00、噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)に引下げ。
<2018年>
・01/19 02:30頃、傾斜変動を伴う火山性微動が発生、火山性地震も一時的に増加。
・02/15 07:51と11:52に浅い所を震源とする振幅の小さな低周波地震が発生。その後、火山性地震も増加傾向に。
・02/20 11:40、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引上げ。
・04/19 15:39頃、噴火発生、火口周辺に噴石が飛散。硫黄山での噴火は江戸時代の1768年(明和5年)以来250年ぶり。15:55、噴火警戒レベル3(入山規制)に引上げ。
・04/20 06:30頃、前日からの噴火は停止するも複数の火孔から噴気や泥水の噴出を確認。16:30頃から、硫黄山西側(県道1号線付近)で新たな噴気を確認。
・04/26 18:15頃、硫黄山の西側500m付近(県道1号線付近)の噴気域でごく小規模な噴火発生、18:26頃まで継続。噴煙が火孔から200m以上に上昇。
・05/01 14:00、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引下げ。

◆用語解説:噴火警戒レベル
火山活動の状況に応じて警戒が必要な範囲や、とるべき防災対応を以下の5段階に区分して発表する指標で、避難や規制の対象地域は、地域の状況や火山活動状況により異なります。
・レベル5(避難):危険な居住地域からの避難等が必要。
・レベル4(避難準備):警戒が必要な居住地域での避難の準備、災害時要援護者の避難等が必要。      
・レベル3(入山規制):登山禁止や入山規制等危険な地域への立入規制等。状況に応じて災害時要援護者の避難準備等。
・レベル2(火口周辺規制):火口周辺への立入規制等。
・レベル1(活火山であることに留意):状況に応じて火口内への立入規制等。

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