ライムスターのDJ JINが語るベイスターズ愛「経験したことのない時代に…」

横浜大洋時代のメガホンを片手に、ベイスターズ愛を熱く語ったライムスターのDJ JIN【写真:編集部】

「ナウなベイスターズは、もうラミレス監督に任せますよ!」

 開幕前から主力選手の相次ぐ離脱にも関わらず、4月末時点でリーグ2位をキープする横浜DeNAベイスターズ。38年ぶりに日本一に輝いた1998年から早くも20年目を迎えたが、日本シリーズ進出を果たした昨シーズンを経て、今年はあの時代を超える黄金期の到来さえ予感さえする。そんなハマのプロ野球チームを応援する地元ミュージシャンの中でも、Rhymester(ライムスター)のDJ JINは、ホエールズ時代から横浜ひと筋。横浜大洋時代のメガホンを片手に、ベイスターズ愛を熱く語る。

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 1973年に磯子区で生まれて中区で育った横浜市民の僕にとって、1978年に横浜大洋ホエールズとなって横浜スタジアムにホームを移した時の街の盛り上がりや周りの雰囲気は、幼い頃だったけれど、今でも自分の中に息づいていますね。元町、山下公園、中華街、長者町、今ならみなとみらい、そこに囲まれる形でスタジアムがあるというのは、これぞ横浜の球団という象徴的な存在です。高校の頃、そんな思い出のハマスタでビールの売り子のアルバイトもしていました。当時は缶ビールをいっぱい積んで、横浜スタジアムの急な階段を上り下りしてましたね。ある時、落合(博満)選手のホームランボールが僕の足元にどーんと飛んできて、そのシーンが一瞬「プロ野球ニュース」に映ったんですよ。なので僕の全国デビューはそこ(笑)。一番思い出深い時代はスーパーカートリオの頃と、忘れもしない1998年の優勝時。でも、ベイスターズって歴史的に常勝軍団とはほど遠くてね。なんでだろう? 選手のキャラ立ちは良かったと思うのですが、スタジアムを移して優勝まで20年もかかりましたね。

 ナウなベイスターズは、もうラミレス監督に任せますよ。それしかないです! だってそれで昨年は結果出してますから。さっきも言ったように、ベイスターズってホエールズ時代から勝って当たり前には程遠い歴史っていうんですかね。ロッテが川崎にいた頃もそうですけど、神奈川のプロ球団の裏には特殊な事情があるのか(笑)。でも、もしベイスターズが常勝軍団になっちゃったら、いったいどんな気持ちになるんだろうって想像すると緊張しますよ。一度味わってみたいですね。ここ数年は若い選手が中心となって結果を出しているので、これまでベイスターズが経験したことのない時代に足を踏み込んでいる気がします。個人的には、以前サインボールを頂いた石田健大投手には活躍を期待しています。

ベイスターズ初代四番・ブラッグスの奥さまはアン・ヴォーグ

 僕が1番好きだった選手は平松政次さん。親に連れられて球場に観に行ってました。巨人キラーとして、伝家の宝刀カミソリシュートで右打者の内角をえぐる。あの長嶋茂雄さんがバットをこっそりと短く持ったというエピソードも残ってるぐらいすごい。一時期は平松さんのシュートが打てなくても査定に響かないという噂もあったとか(笑)。でも、王さんにはよく打たれていたんですよね。他に好きだったのが高木由一選手。何がすごいかって、相模原市役所出身のレアな経歴を持ったプロ野球選手で、ルックスもなかなかイイ味出してていいんですよ。マシンガン打線を指導されたコーチとしても活躍されて、素晴らしい方なんです。

 外国人選手も思い出に残っていますね。昔、横浜の元町で見かけたレイノルズという選手が本当にカッコよくて。買い物をしていたら向こうのほうでピッチピチのスパッツを履いて、まるで俳優ウェズリー・スナイプスみたいな外国人が仁王立ちしていて。誰かと思ったらレイノルズ選手で「おー! レイノルズ選手だー!!」って言ってサインもらいました(笑)。あと、ブラッグスという外国人選手の奥様は、80年代後半から90年代にかけて全米を席巻したR&Bグループ「アン・ヴォーグ」のシンディ・ヘロンさんで、当時お忍びで観に来ていたという、そんな話題が横浜出身の音楽ファンとしては突き刺さりましたね。

 で、忘れてはいけないのが1998年の優勝ですよ。当時、ライムスターのアルバム『リスペクト』をレコーディングしていた最中で、セ・リーグ優勝を決めた試合はリアルタイムで見逃していたんですが、友人がスタジオに入ってきて「横浜……優勝しました!」って。でも、他のメンバーはスポーツに興味がないので、その場で静かに「ついにきたか」とグッと拳を握って噛み締めるように喜びを味わいましたね。「自分が生きてるうちにこの日が来たか!」って(笑)。永谷脩さんの『決断~権藤博と東尾修の1年』という「Number」の連載を1冊にまとめた本があって、当時連載を読んでいたんですけど、まさにその通りベイスターズとライオンズが日本シリーズを戦うことになったので、その慧眼たるやと。今でも印象に残ってます。

ライムスターのDJ JIN(写真中央)

ベイスターズを気にかけながら、都市型音楽フェス「人間交差点」開催

 好調ベイスターズの活躍が気になるDJ JINだが、DJ/トラックメイカーとして活躍するライムスターの活動も忙しい。毎年オーガナイズする野外フェス「人間交差点」が今年も5月13日(日)に東京・お台場特設野外特設会場で開催される。

「人間交差点は今回で4回目となる都市型の音楽フェスなんですが、入退場が自由なんです。途中でぶらっと買い物に行ったり、浜辺で寝そべりながらステージから流れてくる音を楽しんだり、そんな楽しみ方もできるのが特徴で、僕たちもこれまでさまざまなフェスに出させてもらって、そこで感じたいいものを取り入れながら、家族連れでも楽しんでもらえるような工夫を凝らしています。例えばキッズスペースを用意したり、保護者同伴だと小学生以下はなんと入場無料ですよ。これは太っ腹(笑)。ぜひ皆さん、遊びに来てください!」

【DJ JINが選ぶ、歴代ベストナイン】
1番 遊撃 石井琢朗
2番 二塁 山下大輔または高木豊
3番 三塁 村田修一または田代富雄
4番 一塁 桑田武
(定位置は三塁だが、投手と捕手以外の全ポジションで出場経験あり。高校時代は一塁)
5番 外野 内川聖一または屋鋪要
6番 外野 近藤和彦または鈴木尚典
7番 外野 高木由一
8番 捕手 谷繁元信
9番 投手 平松政次または秋山登(先発)→斎藤隆(セットアッパー)→佐々木主浩(ストッパー)

【野外音楽フェスティバル 人間交差点 2018】
2018年5月13日(日)お台場野外特設会場・東京都江東区青海2-96
開場 午前9:30/開演 午前11:30/終演 午後8:00(予定)雨天決行/荒天中止
チケット料金 7700円(税込)
※リストバンドとの交換で会場への入退場自由
※小学生以下は保護者同伴のもと入場無料
○出演者
ライムスター / SCOOBIE DO / NakamuraEmi / PUNPEE / KICK THE CAN CREW / DJ IZOH + DJ KENTARO / Base Ball Bear / BRAHMAN / GOMA & The Jungle Rhythm Section / BAD HOP / hy4_4yh(オープニングアクト) / YOUNG HASTLE(オープニングアクト) / SEX Yamaguchi(オープニングDJ)

○DJ JIN
1973年横浜市生まれのDJ、サウンドプロデューサー。1994年にライムスターに加入し、DJとしてグループのライヴ・クォリティー向上に貢献。グループの別名ともいえる「キングオブステージ」の名を確たるものとする。また、クラブをベースとしたDJ活動も精力的に行い、レギュラーパーティー「breakthrough」も18年目を迎えた。ファンク、ソウル、ジャズなどに対する幅広い音楽見識を武器に、独自のフィルターを通していく手法で、サウンドプロデューサーとしてモダンなサウンドをクリエイト。グループの諸作にとどまらず、他者への提供楽曲も多数誇る。11th ALBUM「ダンサブル」が絶賛発売中。

(Full-Count編集部)

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