【振り込め詐欺】青葉区内で急増 前年比6倍に 横浜市青葉区

区が配布しているチラシ

 青葉区内で振り込め詐欺被害が急増している。4月18日時点の発生件数は前年比6倍の48件。県下最悪レベルの発生件数に「青葉区振り込め詐欺対策協議会」は危機感を募らせ、啓発に注力している。

 今年1月から4月18日までに発生した振り込め詐欺発生件数は48件。被害額は約7910万円に上る。昨年の同日時点は8件(被害額約6460万円)で、発生件数は6倍だ。県全体でも同日までに721件発生しているが、区内発生件数は県下でも最悪レベル。青葉警察署は、届出がされていない被害事例も相当数あると考えており、危機感を強めている。

 急増している理由は還付金詐欺の増加だ。医療費や保険料の還付があると言葉巧みにだます手口で、区内発生件数48件のうち、25件と半数を占めるという。

詐欺の手口は

 還付金詐欺の代表的手口では、青葉区役所職員を装い、還付金についてのハガキが届いているか確認の電話があるという。届いていない旨を答えると「手続き期限は今日まで」「急いで手続しないとだめ」などと焦らせ、金融機関名を聞きだしてATMまで誘導。操作を指示し振り込ませるという。区地域振興課は「ATMで医療費の払戻金や保険料の過払い金などの還付を受け取ることはできません」と注意を呼びかけている。

 同署によると、犯行グループは積極的に注意喚起を行っている金融機関の有人窓口ではなく、コンビニエンスストアなどのATMを指定するケースが増えているという。ATMは1日の限度額が50万円に設定されていることが多く、1件あたりの被害額は少なくなるが、水際での防止も難しくなり、件数の大幅増につながっているとみられる。

区一丸となって対策

 被害件数の増加を受け、行政や関係団体で組織する青葉区振り込め詐欺対策協議会(松澤孝郎会長)は被害防止に向けて啓発活動を続けている。

 構成団体である同署としても、区内の高齢者3万3000世帯に対して個別訪問を昨年から実施しており、現在1万8000世帯ほどの訪問を終えた。訪問先では啓発チラシを配布し、直接注意を呼びかけているという。また、区役所もチラシをイベントなどで配布しているほか、防犯パトロールなど地域と連携した防犯活動への参加、啓発講習会を繰り返し実施。FMサルース(84・1MHz)も1日2回、振り込め詐欺の情報を流すなど、区が一丸となって被害撲滅に取り組んでいる。

 松澤会長は「電話でのお金の話は全て詐欺。不審な電話は焦らず周囲に相談を」と話している。

家族の連絡も鍵に

 同協議会は固定電話の留守番電話設定など、高齢者世帯に啓発を続ける一方で、別々に暮らす子ども世帯に協力を呼び掛ける。1日1回電話やメールで親世帯に連絡を取る「息(ムス)コール、娘(ムス)メール」運動で日常的にコミュニケーションを図り、注意を促してもらおうという試みだ。不審な電話があった場合は同署【電話】045・972・0110へ。

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